*旧サイト連載「最遊学園高等部」設定↓。
ヒロイン、友人、悟空、ナタク、江流はクラスメート。
ヒロインが「会長」と呼んでいるのは三蔵のコト。三蔵が生徒会長だから。
ヒロインの担任の金蝉先生、先輩の三蔵、江流の三人は兄弟設定。
とりあえず、江流がヒロインさんにベタ惚れ☆

////やら大文字使用の嫌いな方は回れ右。







     Angel or Devil?







 「おっはよー!」



私と親友のちゃんが教室に入ると、早朝一番、元気一杯の悟空が声を掛けてきた。
ソレによって他の面々も私達に気付いたらしく、爽やかに挨拶をしてきてくれる。



 「……おはよう、
 「あ、おはよう。江流」
 「俺には挨拶なしかよ?」
 「……いたのか、
 「ヒデェっ」
 「つーか、も一緒なんて珍しいんじゃねェ?今日は雨降るかもな」
 「ナタク……。んな真面目な表情カオで言うなよ、そういうコト」
 「いっつもサボってるからだよ?ちゃん」
 「自業自得だな」



そう。ちゃんがサボリ魔なのは周知の事実。
特に朝のSHRなんかはいつもサボってるんだけど、今日は違った。



 「江流ヘタレのくせに煩い。ところで、早く決めようゼ!ダブルスのペア!!」
 「……先生が来てからね?」



拳を握って楽しそうに闘志を燃やすちゃんに、私は一応そう釘を刺した。

何しろ、もうすぐ学年別のテニス大会が始まるからと言って、突っ走りかねないのです。このちゃんって娘は。
その証拠に、デカデカと「不満だ」という表情カオをして、彼女は思いっきり叫んだ。



 「えーっ!何で金蝉なんか待たなきゃいけないんだよ!?」
 「担任を『なんか』呼ばわりかよ」
 「オレの兄貴なんだけど。一応
 「んなモン俺の勝手だろ!金蝉を『なんか』って呼んだり、『ハゲ』って呼んだりしても!!」
 「「何でそうなる!?」」



するとすかさず、愉しそうな笑顔で笑っているナタクと、
ソレとは正反対に『ヘタレ』なんて言われて不機嫌そうに眉を顰めた江流がちゃんの言葉にツッコミを入れていた。


うわー。凄い凄い!こういうのが漫才コンビって言うんだよね?
あれ、でも3人だからトリオ??
担当はちゃんがボケであとの二人はつっこみかな。あ!会長にハリセン借りてこなきゃ!?
もちろん使うのは江流だよねvうん。似合いそう。
でも、会長貸してくれるかなー?
よし!3人がお笑いデビューする時は金蝉先生に貸してもらおう!!


段々と私の思考が逸れていたその時、丁度噂の人物――金蝉先生が入ってきた。そして、



 「誰がハゲだぁあぁあぁー!」


スパーンッ!



ちゃんにイキナリ有無を言わせず、ハリセンをお見舞いした。
え、何?地獄耳??一体何処から聞いてたんですか、先生。と、その場の全員が思ったのは間違いないと思う。



 「〜〜〜〜〜っ!」
 「……フン。ふざけたコト抜かすとこうなるからな」



まるで忠告するかのように、悟空とナタクを睨み付ける金蝉先生。
ハリセンを肩に担いで見下ろす先生は怒鳴るのがやたらと板に付いていた。


でも毎度毎度、怒鳴ってて腹筋痛くならないのかな?
実はなってそうだよね。先生華奢だし、夜中に足がつるって噂で有名だもん。
それと、あのハリセンって何処から来てるんだろう?何気に会長とお揃いだよね??何か手作りぽいし……



 「……ひょっとして江流もお揃い?」
 「突然、何言い出してんだ。
 「いや、だって会長も金蝉先生もハリセン持ってるでしょ?だから、実は江流も隠し持ってるのかなーって。お揃いで」
 「……ああ、ソレか」



……何でそんなに遠い眼してるの、江流!?



 「他の武器が使えないんだ」



いやいや、武器って日常生活で使わなくない?寧ろ、使えないよね!?
あ、でも会長使ってる!発砲してるよ!!
毎日悟空達のコト撃ってるよ、生徒会室で!此処日本なのに!!



 「……江流。会長は銃持ってるし、撃ってるよ?」
 「アレを取ったら、兄貴じゃない」



江流がそうきっぱりと言い切った瞬間チャイムが鳴り、皆は慌てて自分の席に戻っていった。
そして、ソレを見届けた金蝉先生は、何とも厳かに口を開く……。がしかし、



 「前々から言っていたが、今日はテニス大会のペアを決める。男女一組だ。決め方は……」
 「「決め方は?」」
 「今、一番近い奴と組め。以上」



ええぇぇーっ!?ソレは良いんですか、先生!!?
一番近い人って、前と後ろと横、どの人ですかー!
身体の近さなら後ろの席の人?あ、でも前の人とも距離は変わんないよ!
先生、指定するなら前とか後ろとか、ちゃんと言って下さいぃ……。



 「一番近いのって誰ー!?」

 「……オイオイ。の奴、マジで言ってんのか?」
 「マジだろ。あの表情カオは」
 「って面白いよなー」
 「「「よし、学級委員がまとめて来い。が本気にしてるから」」」




こんなやり取りが交わされているとは露知らず私が驚いていると、その間にも江流は金蝉先生を押し退けて教卓の前に移動していた。
その様子はかなり嫌々。しかも溜め息付きだった。



 「……ハァ。ペアの決め方について何か意見ねェか」



がしかし、ソレを金蝉先生が認めるハズもなく。



 「江流。手前ェいい度胸してんじゃねェか。オレがもうペアは決定したんだよ」
 「横暴すぎて皆無視してんじゃねェか、馬鹿兄貴」
 「あぁ?んなコトしてねェのもいるだろうが」
 「ソレが問題なんだよ」



すみません。何で段々険悪になってるんですか、この二人!?
イキナリ兄弟喧嘩!?しかも原因がすっごく小さい!
金蝉先生もそんな意見を無視された位で青筋立てないで下さーいっ!
江流も自分のお兄さんの胸倉掴まないで!!



 「どっちが勝つと思うー?」
 「「江流の圧勝」」

 「って、何で皆してお菓子取り出して傍観してるの!?」


 「安心しろ、。このお菓子達は今食う為に出したんじゃねェ」
 「そうそう。ただの賭けの景品」
 「でも、全員江流に賭けたんじゃ、賭けになってねェよな」
 「そんなコト言うなら、悟空、金蝉に賭けろよな」
 「ヤダ!オレだってお菓子食いたい!!

 「尚更悪いってばー!」



誰一人、二人の喧嘩を気にも掛けない様子に、私はかなり焦った。
そして、焦りに焦った結果。


いいや。もう放っておこう。


という結論に達した。
辺りを見渡してみると、どうやら同じ考えの人が大多数らしく、皆好き勝手に自分達でペアを決め始めていた。
皆、たくましいな。流石、最遊学園。と思った瞬間である。

そして、私が誰とペアを組もうかと考えていたその時、しっぽを振った犬のように悟空が駆け寄って来た。



 「!一緒にやろうゼ!!」



いや、悟空とかナタクとか江流とか、運動神経抜群な人は是非とも遠慮したいんですけど!
釣り合わないにも程があるでしょ、ねェ!?



 「で、でも、ほら。悟空とやりたがってる人一杯いるし。他の人から誘われてるでしょ?」



何とか悟空に諦めて貰おうと必死に、教室でコッチを見ている女子の一団を指した。


ああぁ、怖いよぅ。すっごい睨まれてるし。
痛い。視線が痛いです、皆さん。私、悟空を取ったりなんかしませんって!
だから、その呪いの藁人形とか仕舞って下さい!


がしかし、私の願いも虚しく、悟空は爽やかな笑顔を私に向けて強請りだした。



 「んー、だってなんか眼ェ血走ってて恐ェし。それに……」
 「『それに』?」

 「と一緒にやりてェんだ!」



誰か、私をお空の月まで連れてって下さい。

こんな、こんな可愛いお強請りをされて私にどうしろと!?
神様は不公平すぎです!こんなの断りにくいじゃん、馬鹿ァー!!



 「あ、でもが嫌なら別に良いんだけど……」
 「そんなコト絶対なっ!…………ハッ!」
 「マジ!?」



しまった。つい哀愁漂わせられたから、否定しちゃったーっ!
だって、雨の中捨てられた仔犬みたいだったんだもん!
だから勘弁して下さい、其処の物騒な皆!妬みオーラ倍増しないで!!
悟空もそんな思いっきり嬉しそうに笑わないで!!


がしかし、冷や汗をかいている私とは反対に悟空は一気に満面の笑みになって私に抱きついてきた。





 「へへ……っ。サンキュ!!!」


ガバァッ!





カミサマ。私、明日の朝日が見れるでしょうか??










 「……あぁぁ、あの野郎……っ!」
 「あー、一足も二足も遅かったな、江流。金蝉粘ったから」
 「……クソッ。いつもはもっと早く息切らすクセしやがって。あの馬鹿兄貴」

 「なァ、オレ、毎回思うんだけど、悟空のアレって素でやってんのか、計画的にやってんのか微妙だよな」
 「計画的だったら、マジ殺す」
 「ガンバレ。で、どう思う?
 「悟空って結構大人なんだよなー。無邪気な悟空であってほしいけど。否定はできない……」
 「だよな」





 「頑張ろうな!
 「……う、うん。分かったから放してっ////」
 「あ、悪ィ。でも、って本当にこういうの慣れないんだなー」
 「女の子は大丈夫だよ。でも、ほら、悟空は……その、男の子だし」
 「何で男は駄目なんだ?」
 「何でって……。男子は女子に抱き付いたりってあんまりないでしょ?」

 「フーン。ってこんな抱き心地良いのにな?何で皆抱き付かねェんだろ??江流とか」

 「〜〜〜〜〜っ////やっちゃ駄目なの!」





 「……結論言って良い?」
 「多分、全員同じだと思う」

 「「「どっちにしても性質タチが悪い」」」

 「畜生、悟空の野郎、羨ましいじゃねェか!オレだってまだやったコトないのに!!」
 「……。ソレはの真似のつもりだ?」
 「目の前のヘタレ?」

 「……殺すっ!」





 「嫌ァー!私の孫君が!!」
 「ちょっと、誰が誰のよ!?馬鹿言わないで頂戴!」
 「……喧嘩なら他所でやって」

 「だって、あの女がァー!」
 「いちいち叫ばないよ。煩いわね」
 「でも、本当に調子乗りすぎじゃない?あの子」
 「私にはあからさまに怯えてるように見えるんだけど」

 「「あー、むかつく!」」

 「そう。むかついてる処悪いんだけど、その孫君がコッチ見てるわよ」
 「え!?あ、本当だーv孫君コッチ見て笑ってェー!」
 「ヤダ、私眼が合っちゃ……て?」
 「…………何か孫君、怒ってない?」
 「そ、そうみたい?ねェ、アンタどう思……っていないし!?





 「どうしたの、悟空?」
 「んー。何でもないv」
 「?」





 「アイツ今、絶対ェ睨んだよな
 「睨んだなー」










クラスでペアを決めてから約2週間。
私は学園の中にあるテニスコートに通い詰めている。
もちろん、その理由は特訓という、とっても熱血で私とは無関係なハズの言葉に尽きる。

私は悟空とペアを組んでしまった為に、その実力差を0.1%でも減らすべく、悟空と放課後・土日を使って練習を始めたのである。
がしかし、テニスなんて中学の時に軟式をやっただけなので、そうすぐに上達するワケもなく。
いよいよ明日は本番だというのに、悟空とラリーの大して続かない現状に、私は少し落ち込んでいた。

そして、悟空と時間・ポイント無制限の試合の相手をしてもらって、数十分経った頃、私はとうとう座り込んでしまった。



 「……疲れたァー」



すると、息が切れてへばっている私の処に、悟空が急いで濡れタオルを持ってきてくれた。



 「大丈夫か?
 「うん。ありがとう。でも、疲れちゃったから休んで良い?」
 「当たり前じゃん」



嗚呼、冷たくて気持ち良いv
体力無尽蔵の悟空と一緒にやるってのがどれだけ無謀か分かったよ。
……でも、悟空の体力に付いていける女子っていないかもだけど。


タオルで顔を拭いたりして涼みながら、私は自分の浅はかさを少し呪った。
でも、あんな悟空の頼みを断れる人がいたら、その人は絶対、美的センス(?)がおかしいとも思う。

そんな風に少し考え込んでいたその時、私はようやく悟空が申し訳なさそうな表情カオで隣りに立っているコトに気付いた。



 「……悟空?」
 「ごめんな。オレが頼んだから、、大変なコトになっちゃって……」



多分、悟空にしっぽとかが付いていたら、間違いなく今垂れてしまっているであろうその様子に、私は何故だか良心が疼いた。
自分が運動音痴なせいで、悟空がかなり落ち込んでいるコトは辛うじて理解できる。
そして、気が付けば私は悟空の袖を引っ張って、彼を隣りに座らせていた。



 「あのね?悟空。その、悟空が謝る必要は全然ないと思うんだけど……」
 「だって、が最近授業中とかグッタリしてんのって、オレが頼んだせいじゃん!」
 「って、見てたの!?」
 「うん。やっぱ心配だったし」

 「……悟空のせいじゃないんだよ?私が運動不足で下手なのが悪いのに、練習付き合ってくれて、すっごく嬉しかったし。
  それに、手加減とか上手だし、ちょっとしたコトでも誉めてくれて。だから、その……ごめん」



ああぁ。言ってて自己嫌悪だよ。
ごめんなさい。悪いのは確実に私です。どう考えても、悟空が悪いように思えないんですけど!?


一気に気分がさっき以上に落ち込んでしまうと、そんな私の様子を見て今度は悟空が慌てだした。



 「も謝る必要ねェって!空振りだって全然減ったじゃん!!



……フォローになってないよ、悟空。



 「……えっと、じゃあ、二人共謝る必要ないってコトにしよう?このままだと話進まないし」



にっこりと笑顔でそう言うと、ようやく悟空もほっとしたように破顔した。



 「分かった!そうだよな。二人で落ち込んでちゃ、なんか駄目だもんな!」
 「うん!」



ようやく和やかな雰囲気に戻りつつあったその時、悟空は不意に笑顔を深めて口を開いてきた。



 「なァ、?」
 「なァに?」

 「……俺の為に頑張ってくれた、って自惚れてもいいよな?」

 「……へ?」



突然のセリフに言葉を無くす私。
がしかし、そんな私の返事を待たずして、悟空はいつも通り私に抱きついてきた。

でも、ソレはちょっと、いやかなりマズかった。
ほとんど放心状態に近かった私は、心の準備も何も出来ていなかった為にそのまま倒れてしまったのだ。



 「きゃあっ!」
 「うわっ!?」


ドサァッ・・・。



見事に私達は倒れこみました。
ええ、もう。悟空が私を押し倒してるようにしか見えない状態で。

とりあえず、地面が近かったのと悟空が咄嗟に私を手で庇ってくれたおかげで、頭とかは全然打ってないんだけど。


今の状況は色んな意味で危険ですーっ!!


と、私が動くに動けない状態でパニックに陥りかけていると、悟空がその状態のままで安堵の息をついた。



 「あー、ビックリしたァー……」



きゃあぁあぁあぁー!悟空、耳元でしゃべんないでー!!
顔近いの意識しちゃうでしょ!?つーか、実際近いでしょー!!



 「、大丈……。って?顔真っ赤だゾ??」
 「悟空……。お願いだから降りてぇー……」



重いし、痛いし、恥ずかしいよぅ……。
マズイ。心臓バクバクいってる。壊れちゃいそうっ。


多分、自分は今凄い真っ赤なユデダコみたいになっているだろうと思いながら、私は悟空に退いてもらって身体を起こした。
赤面した頬を両手で覆って隠していると、悟空も多少頬を赤く染めていた。



 「えと……。ごめんな?
 「うん………………だから、駄目って言ったのに」
 「ごめん!もうしねェから!!痛くなかったか?」
 「ソレは、その、大丈夫、なんだけど……」



一生懸命謝ったり私の安否を確認する悟空だったけど、顔覗き込むのは逆効果だよーっ!
そんなに私の心臓を壊したいの?悟空!?



 「マジどっか怪我してねェ?大丈夫??」
 「大丈夫だから、顔離してっ////近いから。本気で近いからっ!
 「へ?あ、ごめん」



心臓煩いし、顔熱いし、どうしよ…。
だって、悟空結構身体がっちりしてて、私と身長あんまり変わんないのに。
いつも弟みたいなのに、手とか大きかったし。
お願いだから、これ以上意識しちゃいそうなコトしないで!本当にお願いだから!!


私は必死に深呼吸して必死に冷静さを取り戻そうとした。
ソレは私が困ってると、悟空がさっきみたいに落ち込んじゃうんじゃないかって思った為の行動だった。

でも、次の瞬間、少し考え込んでいた悟空は、そんな私の努力を水の泡みするような行動に出た。



 「!」
 「え……」


CHUv


 「っ!!?」



呼ばれて思わず顔を上げた私だったけど、その行動に目を見開いて固まってしまった。
つまり、その、悟空が私の額に……キ、キスと言うモノをですね?

眼を白黒させて悟空を見ると、彼はにっこりと太陽のような笑顔を浮かべながら立ち上がっていた。
何処か、悪戯っ子のように瞳を輝かせて。
でも、やたらと爽やかに。



 「おわびのシルシ」



誰ですか、悟空にこんなコト教えたのー!?











 「皆おはよう」



テニス大会当日、私が教室に行くと、もう他のメンバーは皆で集まって話をしていた。
といっても、私が遅かったワケじゃなく、他の人達が早かったのだ。

そして、私はかなり気恥ずかしくて、悟空の眼はまともに見られなかった。

昨日、悟空はあんなコトをしたにも関わらず、普段と何一つ変わらない態度で「んじゃ、また明日な〜」と普通に帰ってしまったのだ。
悟空を見ていると、コッチだけ翻弄されているのかと思えてきて、少し哀しくなってくる。



 「おはよ、。テニス中止なんだってさー」
 「うん。ちゃん見れば分かるよ」



私の視線の先には、どよんと暗い空気を纏ったちゃん。
朝、今日の天気が霧雨という微妙なモノだったので中止になったテニス大会に対して、
彼女は観世音理事長に直談判をしに、私を置いて行ってしまったのだ。



 「でも、どうしてやらなくなっちゃったのかな?延期はしても中止はしないと思うんだけど……」
 「いや、寧ろ『面白いから』って理由で雨だろうが嵐だろうがやりそうだけどな。あの理事長
 「……うん。ちょっとそうかも」
 「非常識すぎるだろ……」



すると、ナタク達と私がそんなコトを話していた其処に、半ば腐ったちゃんが突然顔を出した。
よっぽど楽しみだったみたいで、ちょっと化けて出そうな雰囲気だ。



 「なんか、『十分楽しませて貰ったからもう良い・・・・・・・・・・・・・・・・』んだってさ」
 「?何が??」
 「俺が知るワケねェじゃん。それと、に預かり物」



ピラリとちゃんがそう言って私に差し出してきたのは一枚の大き目の封筒……。
ごく普通のソレに、私は疑問符を浮かべながら中身を引きずり出した。そして、



 「あぁーっ!悟空がにキスしてる!!」


バンッ!



そう。封筒の中身はバッチリくっきりと撮られた昨日の現場。
しかも、コレ以上ありませんって角度で。
私は高速でソレを机に叩き付け、恐る恐る周りを見回した。
しかし、ソレを見たのが私一人じゃなかった、というかナタクが余計な叫びを上げたせいで教室中の視線は私達に向いていた。


良かった、押し倒されてるシーンじゃなくて。
ってそんなワケないじゃん、馬鹿ァー!!
何でこの学校、盗聴器と隠しカメラの宝庫なのー!?



 「ハァ!?何、お前ら何時の間にそんなコト……」
 「してないしてない!ナタクの言い方が悪かったんだよ!!」
 「だって、オレ嘘付いてねェし♪」
 「だからって……っ!アレは昨日悟空がふざけてやったの!しかも口じゃないからね!?」

 「其処んとこどうなんですか、ナタクさん?」
 「いやー。一瞬過ぎて分かんなかったな、君」
 「じゃあ、是非とも真実の確認の為に見せて貰いましょうかv」



嫌ァー!何で二人共、シャーロック=ホームズチックな服着て虫眼鏡持ってるの!?
一体、何処から出したの!?
っていうか、暑くないの!!?



 「だから、違うのにぃーっ!」
 「「問答無用☆」」




――後日、押し倒された方も写真が撮られていて、私が直接白い封筒を貰いました。
もちろん、その後、ケーキを奢らせました。
でも、余裕しゃくしゃくで「土産は良いのか?」とか訊かれて凹みました。――から姉へのメールより――










 「オイ、悟空」
 「何だ?江りゅ……」
 「お前、どういうつもりでそんなコトしたんだ?」



 「んー……秘密










 ―作者のつぶやき♪―

この作品は旧サイト【ACK】と相互リンクをして下さった【Night mare】の羽柴 あおい様に捧げます。

act.Kになったので、こういうのはどうすべきなのか、甚だ疑問なのですが。
というか、激しく書き直したくてたまらない衝動に駆られたのは秘密です。
えー、とりあえず、「最遊学園高等部」では、こういうお馬鹿なノリ100%でした。
もう、何て言ったら良いのか……。
ちなみにリクエストは「最遊学園高等部設定で悟空とテニスのペア。悟空が抱きついて押し倒す格好になる」だったのですが。
果たしてリクエストにお応えできたか甚だ疑問な気が……。何故に悟空が策士っぽいの??

以上、相互記念夢『Angel or Devil?―天使?小悪魔?―』でした!
羽柴あおい様のみお持ち帰り可です。
羽柴様。こんなモノになってしまいましたが、どうぞ貰ってやって下さい。