迫る確信に、遠ざかる解答。
Phantom Magician、42
焦燥で胸が焦がれる。
今、リーマスは何をしているのか。何を想っているのか。
分からない自分は、ただ走ることしかできない。
ハーマイオニーを追いかけている内に、闇に対する防衛術の授業時間は終わってしまったので、
教室ではなく、職員室を目指すことにしたのはいいものの。
(空き時間は自室じゃないんだよね、先生たちって)
どれほど走っても、いまいち見覚えのある風景に辿り着かない現実があった。
闇雲でも、適当に走っていればその内どっかには行けると思ったのは甘い認識だったのか。
……Yes,of course☆
職員室なんて数えるほどしか行ってませんからー!残念!!
っていうかどこだよ、ここっ!
この城無駄に広すぎるだろ!マジで!
創設者とか出てこい!フルボッコにしてやるから!!
と、絶妙に的外れな八当たりを敢行していたその時。
『あー、的外れには違いないけど、にしてはまともな意見じゃないかな』
いっそ、そこの壁破壊して一旦城の外にでも出るか、とか考えていたあたしの思考を打ち切るように、
不意に足もとから生意気な声が響いてきた。
相変わらず、予想外の登場の仕方しかしない奴だ。
「スティアっ!?」
『呼ばれず飛び出ずじゃじゃじゃじゃーん♪』
「えぇ!?キャラ違ぇっ!」
相変わらず無駄にノリが良かった。棒読みだけど。
だが、あたしはそのノリに合わせられる程、卓越したコメディアンではないので反応に困る。
っていうか、あたしのテンションは今完全なるシリアスモードだったんだが。
空気読めや。
『あえて空気を読んでぶち壊しにしてあげてるんだよ』
「いらねぇ気遣いだな、オイ!」
『失礼な。考えてもみなよ?君がそこまで焦って駆け付けるほど、事態は切迫しているのかな?
ちょっと頭に上った血を下げて、よくよく考えてよ。違うだろう?
そんな無理矢理、慣れない低級治癒呪文で痛みを麻痺させてまで臨むイベントじゃないんだよ』
まぁ、だから、とりあえず落ち着きなよ、。
と、呆れたように、諦めたようにスティアはあたしを諌めた。
いや、でも、と反論しようとするあたしだったが、言葉の温度差からかいまいち言葉が出てこない。
自然、削がれた勢いそのままに、あたしの足も気づけば歩みを止めていた。
『現在、狼男が君を探して幽鬼の如く彷徨っているっていうなら、まだしも。
あの男はね、今リアルタイムで自室にヒッキーだから。
君が焦って行かなくても、あれは逃げないよ。メンタルが弱いにも程がある。
だから、君がそんなにボロボロになって駆け付けてやる必要性も価値もない』
「いや、でも……」
それでも、駆けつけたいと、思うのだ。
これは、必要うんぬんの問題ではなく。
そう、一言で言えば、あたしの心の問題。
あたしのせいで打ちひしがれているリーマスがいるならば、それをフォローするのは自分だという、ただの意地だ。
そんな想い、あたし以上に分かっているのだろう、スティアはふぅとこれ見よがしにため息を吐いた。
『気持ちに体が追い付かないなんてままあることだと思うけど。
……別に僕は行くのを止めてるんじゃないんだ。
そんな権利は僕には与えられていない。
ただ、その悪漢に襲われたかのような姿で城の中を駆けずり回るのは止めてくれないかな。
一言で言えば目障りで、僕に取ったらいい迷惑だ』
そして、スティアはととっと猫独特の音のない足音のまま近寄り。
さっきあたしが無理に治療した足首に身体を擦りつける。
それは驚くほど温かく、なんだろう、気功で治療でもされているかのような感覚だった。
『まったく。魔法は万能じゃないんだよ?特に癒療は難しい領域なんだから。
この僕でさえ、怪我を完治させる呪文なんてもの、使えないっていうのに』
「……えーと、でもあたし走れるようになったし」
『それは、ただのごまかし。今、僕がやってるのも、気休めみたいなものだよ。
靴下と皮膚の強化やらなにやらを一時的にしてるだけだから、後で医務室は行くこと』
「ありがとう、おかん。超気持ち良いー」
『………………はぁ。
本当は舐めた方が効果がありそうなんだけどね。靴下を舐めるなんてごめんだし。
っていうか、廊下で猫に足を舐めさせてるとか、ヒロインとしてあるまじき図式だよね』
「……ええと、それはスティアが変態だっていうことで良いのかな」
『いっそ死んでしまえっ!!』
シャーッ!と靴下越しに足首を引っかかれた。
リアルに痛い。ほんのアメリカンなジョークだったのに。
っていうか、スティアがマジ切れしていた。
手触りの良い毛並みをこれでもかというくらい逆立てて、完全に怒髪天である。
「あたし、冗談でも『死ね』とかって言っちゃ駄目だと思う……」
『安心しなよ、掛け値なしの本心だったから!
ああ、もう、君ってなんでこうシリアスが長続きしないんだよ!?
明らかに今のはしぶしぶ治療した僕に心からの感謝を述べるシーンだっただろうが!』
シャーっと体を膨らませて怒鳴り散らすスティアだった。
今日の彼は随分と口数が多いようだ。
しかし、あえてそれを無視するあたしである。
(シーンとか考えちゃってる猫は捨て置いて問題なし!)
「さて、じゃあ、傷も完全に治ったところでリーマスの部屋に案内してもらおうか」
『……君さぁ、僕になら何しても良いとか勘違いしてやしないだろうね』
「してないしてない。スティアさんにはマジ感謝してるっす。マジ、パねぇっす」
『…………はぁ』
スティアは万感の想いを込めた、それは重いため息を吐く。
いや、これでも本当に感謝はしてるんだよ、うん。
そして、スティア案内の元辿り着いた職員室
――もといリーマスの自室は。
「って、誰もいねぇじゃねぇか!!」
見事にもぬけの殻だった。
人の気配はおろか、生き物の気配も皆無である。
誰だよ、絶賛ヒッキー中とか言った奴っ!!
思わず、そんなでたらめを教えてくれやがった張本人をぎっと睨みつけると、
犯行を見抜かれた犯人の如く、スティアは悪びれることなくこう言い放った。
『だって、ああでも言わないと君、治療させてくれなかったじゃないか』
と。
確かにそれはその通りだと思うけれどもっ!
お前、いつもいつもいつも!適当なところで適当な感じに嘘放り込んでくんじゃねぇよ!!
おかげで人間不信ならぬ案内人不信に陥るわ!!
が、ここでこいつを非難すると、それこそ短編小説1話分くらいの無駄が生じるので、あたしはぐっと堪える。
もう、拳を握りしめて、絶対後でシメる!という決意を固めつつも、しかし口では最重要懸案を訊いてみる。
「で、リーマスはどこよ」
『そんなに殺気立たなくても、もうちょっとしたらここに戻ってくるよ。
大丈夫大丈夫。かぼちゃジュースでも飲んで待ってれば?』
「未だかつて、ここまで信用できない言葉聞いたことねぇよ!」
が、あたしの悲痛な叫びなど取り合う気は皆無なようで、
スティアはがりがりとリーマスの机で爪とぎを開始していた。
お前、今そういう場面じゃないってちゃんと分かっててやってるよな、ソレ!
っていうか、薄々思ってたけど、お前リーマスのこと嫌いだろ!?なに、そのちっちゃい嫌がらせ!?
ああもう、本気でこの馬鹿猫どうしてくれようかと歯ぎしりをしながら睨みつける。
が、闇雲に探し回っても意味がないであろうことは想像に難くない。
実はスティアはリーマスの居場所なんて全く知りもしないという線がないわけでもないが、
しかし、この猫、無駄に思わせぶりなので、無碍に放っておくというのもどうかと思ってしまう。
と、実力行使も辞さない気分にあたしがなったその時、スティアはおもむろに口を開いた。
『さて、ここで問題です』
「……は!?」
『ハリポタ世界において、探し人があら不思議、いとも簡単に視認できる便利アイテムといえば?』
「いや、知らないけど!?」
『制限時間は5秒です。ちなみに賞品はどこでも案内チケット(小言付き)』
「〜〜〜〜〜っ!?え、ちょっ、待っ
――……」
『
――ご〜お、よ〜ん、さ〜ん、に〜い……』
「〜〜〜〜〜忍びの地図!」
『ぴんぽんぴんぽん大正ー解。さて、では
――』
『それを作ったのは、誰だったかな?』
そんな当然のことを問いかけてきたスティアにしかし、あたしは答えられなかった。
そう、それは何故なら。
「っ!!」
他ならぬ正解がこの部屋に飛び込んできたからだ。
そして、抱擁。ハグ。
突然の事態に全く対応できていないあたしを尻目に、リーマスは力強くあたしを抱き締めていた。
まるでそうでもしないと、あたしが霞のように消えていなくなるかのような、そんな必死さで。
震えるように懸命に。
震えあがるほどの力強さで。
リーマスはここぞとばかりにあたしをその腕に閉じ込める。
が、リーマスが必死であればあるほど、あたしはすっかりさっぱり意味が分からなかった。
「!?!?!?!?」
若干、い、息ができないっ!
なんだ、この熱烈歓迎っ!?
っていうか、なんかこれに似たしちゅえーしょん前にもなかったっけ!?
こう、リーマスが迷子の子猫ちゃん的に震えてあたしの名前連呼してた気がっ!
この人不安定になると誰かにしがみつかずにはいられないの!?
(なに、その萌える設定!?すみません、大歓迎ですっ!)
……通算三度目になる抱擁に、あたしの頭は酸欠でも割と冷静になっていた。
(え、冷静に見えないって?や、すげぇクールだと思うよ、あたし。クールビューティ)
えーと、次の時間は空き時間でそのままハロウィンディナーだったかな☆
前に一晩付き合った経験上、長丁場になることを覚悟しておく。
が、なんだろう、直前のやりとりがアレだったせいか、いまいちこの前のような慈愛溢れる態度にはなれず……。
ええと、とりあえずリーマスを落ちつければ良いのだろうか?
となれば、まずは謝るべし!とばかりに、あたしはおそるおそる口を開く。
「あ、あの、ごめんなさい?」
無言。
「えーと、サボる気はなかったんだけど、火急的速やかに解決すべき問題が発生してね?」
さらに無言。
「一応、ハリーとかにハーマイオニー追っかけてるってこと伝えておいてって、言ってはおいたんだけど(嘘)
その様子じゃ聞いてないのかなーなんて……あはは
――」
ひたすら無言。
って、あたしに一体どないせぇっちゅーねぇえぇえぇーん!!
言い訳もなにも反応してもらえないって寂しすぎるだろ、実際!
えええぇ、まさかこの微妙なテンションと体勢のままオール突入ですか!?マジで!?
スティアじゃないけど、ほんとメンタル弱いな、リーマス!
結構ボロクソなことを想い人に対して想う人物。
あろうことか、それはあたしのことだった。
「…………」
……まぁ、冗談だけど。
閑話休題。
なんだろう。リーマスは時々、なにかスイッチが入ったかのように、臆病になることがあるようだった。
……幾らなんでも、この反応は異常だ。
客観的に見たら、ただ単に養い子が一日所在不明だっただけなんだから。
それなのに、あたしの視界の端に見えるのは、握りしめられた羊皮紙の切れっぱしのようなもの。
さっきのスティアの物言いからして、あれは……忍びの地図、か?
そうであれば、今現在、双子の手にあるはずのものだ。
それをリーマスが持っているということは。
つまり、リーマスがあの二人からそれを借り受けたか、ぶん取るかしたかに相違ない。
それほどまでにあたしを探す理由。
これほどまでにあたしを繋ぎ止める理由。
それが一体、どれだけある?
思い出すのは、あたしが箒から落ちたあの日のこと。
リーマスが初めてあたしの名前を呼んだ、あの日。
今のリーマスを見ていると、彼が、あたしに対して初めて内面を曝け出したあの日のことを思い出す。
あの時と同じ、嬉しさと困惑が入り混じったような感覚がするのだ。
寂しくて。
嬉しくて。
でも、やっぱり独りで。
あたしだけが、蚊帳の外にいるような。
渦中にいながら、台風の目のように風を感じないような。
この夢があたしのものである以上、その
中心にくるのは自分であるはずなのに、
そうでない感覚とでも言えば良いのだろうか。
原作と違うリーマスを見る度に、胸を満たすのは虚無だった。
これはなんていうか、好きだからこその喪失感だ。
露骨な言い方をするならば、独占欲と言っても良い。
『あたしの知らないリーマスがいる』
そのどうしようもない事実に、どうしたってドロドロとした気持ちがわき起こる。
わき起こると同時に、胸を潰す。
結果、あたしの胸には、ぽっかりと暗い昏い、穴が開くのだ。
彼の『スイッチ』が何かまでは分からないけれど。
なんとなく、あたしはすでにその答えを知っているような気がするのに。
『予言』 『何を考えているか分からない』 『奴』
『マグル』 『置いて、いってしまった』 『ハロウィン』
『名もなき魔法使い』
『両親の名前』 『トラウマ』
『ファントム・ナイト』 『フラッフィー』
『あの人』 『失われていた記録』
『守護者』 『君が望んだ世界』
『ケー』 『トラウマ』 『純血だった』
『……また、失うかと思った』
それは、奇妙な感覚だった。
まるで、ばらばらになったピースを見ているような。
全てが掌にあるのに、核となるものがないために全てが繋がらないような。
そんな、曖昧模糊な感触。
『いなくなってしまった誰か』と『名もなき魔法使い』の共通点に相違点。
変わらぬ未来に変わる未来。
傷つくはずの人に、いないはずの人。
知っているものとは違う物語に。
誰かが何かの辻褄を無理やり合わせたかのような錯覚すらしてくるのは、何故なのか。
「……うー」
と、全てが分かりそうで、なに一つ繋がらない現状に、頭がくらくらとしてくる。
くらくら?いや、ふらふら、か?
考えれば考えるほど陥る袋小路に、思考回路がショート寸前だった。
ので、いい加減あたしは思考を放棄した。
や、だって今日、もう盛りだくさんだからね?もうそろそろ楽になりたいっていうかね?
『薄情だ……』
煩い、黙れ。お前にだけは言われたくない。
と、あたしはシリアスモードが終わったのを悟って話しかけてくるスティアに、おざなりな言葉を返す。
『色々ごちゃごちゃ考えたわりには、大した時間経ってないよ』
知ってるわボケー。でも、あたしはもうすでに限界なんだって何回言わす気だ。
『一回だって口に出してないくせによく言うよ』
煩い、黙れ。お前にだけは言われたくなi(再)
気がつけばあたしの頭は糖分を大分消費したらしかった。碌な言葉も浮かんでこない。
嗚呼、ハロウィンのデザートが恋しいなぁ、と思う。
が、今の自分は虜の身である。
ということは、糖分摂取のためには、まずリーマスの腕から脱出するか、開放してもらうかしなければならないワケで。
前者は体力的な問題からいって、却下。
……さて、一体なにをどうやったらリーマスはあたしを放してくれるんだろう?
まさか、こんな縋りつくような腕を振り払うなんて鬼の所業はできないし。
となると、やっぱり言葉による呼びかけしかないワケなんだが。
言い訳はダメ。嘘もダメ。
これであと残ってる選択肢というと……。
「リーマス」
「…………」
「リーマスリーマスリーマスリーマス」
「…………」
「リーマスぅ……」
「…………」
駄目だ、コイツ。
聞く耳持ってねぇ。
そんなにあたしを抱きしめたいのか、この野郎。
あたし大好き、あたし命か。すげぇな、それ。
「…………」
「…………」
「……はぁ」
「…………」
「……あたしも大好きだから、いい加減放してー」
「っ!」
掛け値なしの本音。
それをありえないぐらいの小声で言ってみたところ、リーマスは面白いくらい過敏に反応した。
さっきまで生まれたての小鹿ちゃん宜しくぷるぷるしてたというのに、
今はもう、目を落っことさんばかりに見開いて絶句している。
駄目元でのアプローチ(?)だっただけに、その反応に寧ろこっちがびっくりである。
ちゃんと耳に入っただけでも驚きだって言うのに、この過剰反応……。
っていうか、その反応は一体どういう意味なんだ。
「えと……リーマス?」
あれ、欧米の人って結構好きとか嫌いとかストレートに言うよね?
親子だろうが、友達だろうが、恋人だろうが、それは一緒だよね?
え、あたしが言うのってそんなにおかしなことだった?結構言ってた気がするんだけど(あ、心の中でか?)
別に愛の告白的な要素は含んでなかったんだから、別にそこまで驚かれるようなことじゃない気が……。
(いや、含めても良かったんだけど、なんていうかお互い大混乱に陥りそうだったからね?自重したのさ!)
あんまりな反応に困惑の眼差しを向ける。
が、リーマスはそんなあたしの仕草には目もくれず、なんだか一杯いっぱいな感じで口を開いた。
「あ……ああ、そうか、そうだね」
一人うんうんと頷きだすリーマス。
え、ごめん、なにが「そう」なのかまったくもってさっぱり分かんないんだけど?
「言わなければ、いけなかった。そう、そうだ……。
だから、
彼はあの時あれほど怒ったのか……」
…………。
……………………。
…………あのさぁー。
皆っていうかリーマス、あたしに分かんない話いい加減しすぎだと思うんだけど。
あたしの夢なのに、肝心のあたしが除け者ってこれ如何に。
漫画で言えば、読者置いてきぼりだよ?支持率下がるよ?
ぶつぶつと自分の世界に入っちゃってるリーマスに、流石のあたしも若干イラっとくる。
イラっとくるが。
ヒロインにあるまじき御面相にすんでのところで気づくあたしだった。
ヤバい、ヤバい。今、北斗の○が限りなく似合う顔付きになってたよ☆失敗しっぱい☆
そして、自分の中のあまり宜しくない感情をどうにかそれを解消するべく、
スティアのつっこみを受ける前にリーマスを呼ぶ。
すると、その声に被さるようにして、リーマスはあたしの方を見て微笑んだのだった。
「リー……
――「、私も君が大好きだよ」
「!!?」
それは、悪鬼を退散させるが如き、見るも真っ白な優しい笑みだった。
思わず、あたしの頭まで真っ白になった。
「君が、ここにいてくれて良かった」
「…………」
綺麗で、綺麗で、優しい笑み。
それは、いっそ泣きたくなるほど眩しくて。
何故だろう、嬉しいはずなのに。
あたしの胸を焦がした。
ほんわか温かくなるのではなく。
じりじりと。
じくじくと、心が焼ける。
――こんな想いを、あたしは知らない。
ぱくぱくと、何か言おうと口が動く。
けれど、まともに機能していない頭で、まともな言葉が発せられるワケもなく。
結局あたしは無言のまま、固まった。
一体、どれくらいの時間がその後、流れたのかは分からない。
がしかし、そのことをリーマスが怪訝に思う、その前に。
――ドゴォッ――
どこか遠くで、何かが壊れる音がした。
壊れたのは、何?
......to be continued