―――『空』―――





「ねェ、悟浄。好きな空ってどんな空?」



酷く唐突な質問。
オレの可愛い彼女は、いつも突然オレに質問を投げ掛ける。
だから、コレもオレ達の日常のヒトコマ。



「はァ?突然どしたの??」
「いや、今空が快晴で雲一つない青だから」
「……意味分かんねェ」



つまりはようするに、空を見ていて何となく思いついたってコトか。



「で、どうなの?」



興味津々、とまではいかないが彼女は早く言って欲しそうな表情カオだった。
コレもいつものコト。

オレを気にしてるのかしていないのか、まるで不明。
つーか、付き合ってるのかもイマイチ曖昧。
オレが告白なんつーガラにもないコトをしたら一言。
『うん』
……実は付き合ってないのかもしんねェワ。

と、オレがほんの少し考えに埋没していると、急かすように彼女はオレの服の袖を引いた。



「ごーじょー」



拗ねているようにも取れるその仕草に、思わず笑みが零れる。
が、すぐに苦笑に切り替えたので、彼女がソレを見たかどうかは分からない。

一度空を見上げて、オレは口を開いた。



「別にどの空も好きだゼ?まァ、曇りでどんよりしたのは流石に勘弁だけどよ」



すると、やっぱり一言。



「ふーん」



自分で訊いたくせにそんな反応かよ。オイ。



「そっか。なるほど」
「何が『なるほど』なのか、ちっともさっぱり分かんないんデスけどネ?」
「いや、悟浄らしいなァーと思ったような気がする?」
「疑問形じゃねェか……」



オレが律儀につっこみを入れると、彼女はにっこりと楽しそうに笑った。

嗚呼、全く。
誰か何とかしてくれよ。
この重度キミ中毒患者サマを。



「私はねー。夕焼けが好きかも」



そして、その表情のまま彼女は言った。





「だって、悟浄とお揃いになれるでしょ?」





多分、オレは心底間抜け面をしていた気がする。
そんなオレに気が付いているのかいないのか、彼女は笑う。

笑ってただ、隣りにいる。


ダ イ ス キ ダ カ ラ 。










―――作者のざれごと♪―――
過去最短。30分で話考えて打ち込みました。
拍手して下さって本当にありがとうございます。
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