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―――『倖せな夢』―――
「あ、起きた」
ゆっくりと開いた瞳が最初に捉えたのは、大好きなヒトの優しい笑顔だった。
「ん……。おはよう」
うたた寝……しちゃってたのかな。
「おう!」
「……起こしてくれても良かったのに」
「んー、だってすっげェ気持ち良さそうだったからさ。良い夢見れた?」
興味津々といった様子の金晴眼に思わず笑みを溢した。
「うん。すっごく良い夢だったよ」
夢の中の私の傍には、いつも悟空がいて。
二人で一緒に笑ってて。
詳しい内容は憶えてないけど、私達は春の陽だまりにいるみたいに倖せだった。
そして、私がもう輪郭を失い始めている夢を掴み直そうとしていたその瞬間、不意に悟空は私を腕の中に閉じ込めた。
「……悟空?」
「……
んな
」
「?」
「もう夢なんか見んな」
少し拗ねた口調に、何がどうしたのかが分からなかった。
「絶対ェ見んな」
見たくて見てるんじゃないんだけど。
そう考えながらも、真剣な様子の彼に首を傾げた。
「どうしたの?」
「なんか嫌なんだよ」
悟空は不機嫌そうな、それでいて寂しそうな声でそう言い、その腕に力を込めた。
その仕草がまるで、誰かに大事なオモチャを渡すまいとしている子供ようで……。
でも、そんな子供のような表情はしていなくて……。
其処で、ああ、そうかと思う。
私は緩む頬を自覚しながら、彼と同じように抱きしめ返した。
「クスクス。夢の中でも一緒なのは悟空だったのに」
「だってさ。ソレ、オレだけどオレじゃねェじゃん」
「夢の中の自分にまで嫉妬するの?」
笑い含みに悟空の顔を覗き込むと、彼は少しバツが悪そうな
表情
【
カオ
】
をしたけど、すぐに気を取り直して逆に問い掛けてきた。
「……変?」
「うん。変だよ?でも……」
でも、その変な悟空が大好きな私も大概変だね。
そう言って笑い合った私達はその日、二人手を繋いで眠りに落ちた。
夢なんて見ないように。
もし見たとしても、二人同じ夢が見れるように。
望みと共に瞼を下ろそう。
―――
作者のざれごと♪
―――
静流にしたら驚異的な短さ。淡々としてますね。
拍手して下さって本当にありがとうございます。
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