チル散ル満チル、0







あの日の事を瞼の裏に思い描く。

灰色だった世界に、文字通り色が付いた、あの日の事を。

私は、あのときまで、ほとんど空っぽだった。

でも、出逢ったから。

でも、出逢えたから。

それは正直、そんなものに縁のなかった私にとっては、重すぎるくらいのものだったけれど。

重すぎて、ともすれば潰れてしまいそうなくらいの重さだったのだけれど。

でも、それは心地よい重さだった。

心地よい重さだった。他の何物にも代えがたいほどに。

嗚呼、けれど。

それは私にとっては絶対ではなかった。

その事に今、気付いた。


「あっは」


だから、私は君に。

貴方たちに刃を向ける。



「始めましょう。零崎を」



私が私である為に。







......to be continued