最近、オレの周りをうろつく女がいる。

やたらと煩くて。
やたらと明るくて。
いつも元気そうな表情カオで。

でも、本当はとても弱くて。


「センパーイ!」


そんな、変な女。





セキ





「……何だ、その妙な呼び方は」
「変??でも、菩薩サマが『目上、年上、仕事を教えてくれる奴』は全部!こう呼ぶって言ってたんだけど?」


コイツは世間知らずだ。


「んなワケあるか」
「そうなの?」
「嘘を言ってどうする」

「ふーん。まァ、いいや。そんなコトよりさー、金蝉に訊きたいコトがあって来たの!」
「何だ?」
「あのさ、あたしと金蝉はカミサマでしょ?」

「……ソレが質問か?」


いつも、ヒトのコトを振り回す迷惑な奴だ。


「まさか!」
「じゃあ、何だ」


そして、オレの退屈を呑み込んだ奴。


「あたしと金蝉が同じ世界にいて」
「同じ言葉しゃべってて」
「こうして出逢えたのは奇蹟だよね?」



―――『春』のような愛しい女性ヒト



どうしてお前はオレといてくれるんだろう。
お世辞にも面白いとは言えないオレなんかと。


「……『奇蹟』?」
「だって、出逢えるヒトなんかほんの少しだから。ソレなのに傍にいられるって凄いし、嬉しいし」
「嬉しい、のか……?」

「ハァ……?当然!」


奇蹟なんて、馬鹿げている。
でも、コイツはそんなコトをはっきりと言い切る。

だったらオレは、その奇蹟とやらを信じてやっても良い。



「金蝉じゃなきゃ奇蹟なんて思わないよ」



でも、ソレから少しして、そう微笑ワラって言ったはオレの目の前で冷たくなった。



ゆっくりと視界が暗くなる……。



ようやく見つけた『奇蹟』だったのに。
嗚呼、消えてしまった。

けれど、お前がオレを必要としてくれているのならば、



もう一度、廻り逢いに行ってやる……。

…………………………。

……………。







最近、オレの周りをうろつく女がいる。

やたらと煩くて。
やたらと明るくて。
いつも元気そうな表情カオで。

でも、本当はとても弱くて。


「サンゾー!」


そんな、変な女。


「何だ……」
「なァ、あたしらが一緒にいるのって、ある意味奇蹟だよな!」
「何ワケの分からねェコトを言ってやがる?」

「だって、いろんな条件が重なって、凄い確率で一緒にいるんだろ?あたしも、他の奴らも」



「『奇蹟』なんざねェよ。あるのは『必然』だけだ……」



「もう二度と、同じ轍は踏まないように」
こころが願うのはただその一つ。










―作者のざれごと♪―

この作品はサイト製作等で頑張って下さった椎野 煌さんに捧げたものです。
今回は彼女にリクを頂いて、『説明文のない短文』に挑戦したはずでした。
が、コレ煌さんにずーっと前に書いてもらったリクエストと全然別物になっちゃってたり。
しかも、最初予定してた奴は完全にボツになってる上に、名前も一回だけという大問題。
ちなみにリクは「金蝉を『センパイ』って呼ばせて、ゲロ甘なのが良いな☆ by煌」?
……うん。ごめん☆
でも、愛は煌さんへの愛はたっぷり。

以上、『キセキ』でした!
ちなみに、コレは『奇蹟』と『軌跡』を掛けてあったんですよ。気付きましたか?