我、ここに誓う。我、よからぬことを企む者なり!





Butterfly Effect、31





最近、僕たちには気になる少女がいる。

と言っても、もちろん、そこにはラブな感情なんてものはない。
寧ろ、どちらかと言えば真逆の感情だろう。
なにしろ彼女は、スリザリン生で。
しかも、マルフォイお気に入りの純血だというのだから。

まぁ、典型的なスリザリン生かと言われれば、あの東洋系優等生の親友ということで、 必ずしもそうではなさそうだけれども。

けれど、他寮生でありながら、グリフィンドールの席に居座っている図々しさも。
勝手に特別メニューを食べているという傲慢さも、スリザリンらしくて。
どこかちぐはぐな、新しい1年生。
それが彼女――

その存在に、周囲のグリフィンドール生は戸惑うばかりだ。


「やるか、ジョージ」


ならば、僕たちのやることと言えば、たった一つである。


「そうだな、フレッド」


その大人しそうな化けの皮を、僕たち悪戯仕掛け人が暴いてやるさ!







とりあえず、僕たちは彼女がどんな敵であるかを知るために、 情報収集をするところから始めてみた。

なにしろ、中途半端な時期の編入生なので、 他のグリフィンドールに入ってきた編入生のついでとばかりに尋ねて回れば、 誰もが嫌がることなく、知る限りの情報をくれる。
とはいえ、流石にスリザリン生に訊くことは出来ないので、 集まった情報と言えば、大したものではなかったのだけれど。


「どうだい?」
「そうだな。ミス はとりあえず寒がりらしい」
「それは、まぁ、見れば分かるけどな」
「あとは……見た目通り、食が細い。それでもってびっくりするくらい食べるのが遅い」
「それも見れば分かる」
「で、どうやらスネイプから気に入られているらしい」
「……へぇ!あの陰険から?めっずらしー!」


これは、我らが弟からの情報だが、魔法薬学の授業でも、 彼女が調合している時には、かなり丁寧に教えているらしい。
しかも、放課後は遅れている分の勉強を教えてさえいるのだそうだ。

あのスネイプがそれだけ贔屓するをいうことは、やはり彼女は純血の中でも古い家柄なのかもしれない。
まぁもっとも、純血でないハリーもスネイプのお気に入りの一人なので、 一概にそうとは言えないのだけれども。


「で、そういうそっちの方は?めぼしい情報はあったか?」
「いやー。猫が好きらしいとか、親切だとか眉唾な情報くらいか?
……あ!そういえば、シリウス先輩が趣旨替えしてぞっこん、とかいう話もあったな?」
「あの先輩がか?」


それこそ信じがたい話に、僕は「ないない!」と首を横に振った。
そう、我らが偉大なる悪戯仕掛け人の先輩、シリウス先輩は音に聞こえた女たらしである。
それもボンッキュッボン!の男の浪漫を詰め込んだような色っぽいお姉さんがお好みの、 生粋の色男だ。
それが、幾ら可愛いとはいえ、ツルペタ幼女にぞっこん?
幾らなんでも嘘くさすぎる。


「だよなぁ?でも、なんか会う度に菓子をやったり頭を撫でたりしてるって話だぜ?
他の女子なんか、会話もままならないっていうのに」
「それは……父性本能でも刺激されたんじゃないか?」


確か、他の噂話の中に、スリザリン生の中で、彼女にお菓子を貢ぐのが密かなブームとかいうのもあったはずだ。
なんでも、はにかみながらお礼を言ってくれたり、小さな手いっぱいにお菓子を持っているのが可愛いらしい。
シリウス先輩は元々、ハリーの友人である自分たちのことも会えば可愛がってくれるし、 子供は好きなのだろう。


「そうかもな。考えてみれば、のこともなんだかんだ可愛がってるみたいだし!」
「ああ、そういえば、前にクィディッチの試合で一緒に観戦してたよな」
「そうそう、リーマス先輩と一緒に!」


尊敬する先輩が可愛がっているというなら、やはりいけ好かない純血連中とは違うのかもしれない。
がしかし、と違って、スリザリン生という事実はゆるぎないわけで。
僕たちはなおも、引き続き彼女を調査することにした。

人からの情報収集があらかた終わったところで、 僕たちは今度は自分たちの目で観察を開始する。
学年も寮も違うので、その機会は限られていたが、 僕たちには、リーマス先輩から返してもらった、忍びの地図という強い味方がある!
校内のありとあらゆる抜け道は記憶しているし、居場所さえ見つけてしまえば、 後をつけるのも、待ち伏せするのも簡単だった。


『ああ、ミス 。丁度良いところに。
悪いのですが、この荷物を運ぶのを手伝ってくださいませんか?』
『……クィレル先生。構いませんが、一つお聞きしても?』
『はい、なんでしょう?』
『これ、中身はなんですか?』
『ニンニクですよ?匂いで分かるでしょう?』
『…………』
『生憎、私の方はこの金属の山で手いっぱいでして』
『……それは銀ですか?吸血鬼対策グッズとかです??マグル学で?』
『いいえ?ステンレスソープです』
『まさかの便利グッズだった……。はい、喜んで』



見た目は、ごく大人しい、ただの可愛い1年生だ。
真面目そうで、親切そうで。
先生によく話しかけられているのを見ると、ハーマイオニーあたりと気が合うのかもしれない。
東洋人は珍しいが、彼女にのようなぶっ飛んだ面白さはなかった。
時々、周囲の絵に話しかける姿が珍しいといえば珍しいが、 後でその絵に何を話していたのかを訊けば、ただ道を聞かれただけだと言う。

交友関係は、幅広いといえば幅広いし、狭いと言えば狭いようだ。
というのも、基本はいつもマルフォイやパーキンソンといるものの、 べったり纏わりついている訳ではなく。
補習などがあるせいだろう、時には一人で廊下を歩いていることもあるし、 その時にハリー達や同級生と会えば雑談くらいはするらしい。
もちろん、同郷だというやヘビノは別格らしく、 食事中など、彼らと話している時は、マルフォイ達といる時以上にいつも楽し気である。


『なんだか、魔法がことごとくへちょいんだけど、どうしたら良いのかな?』
『へちょいのかー。どんな風に?』
『例えば、箒に乗ると、1m以上の高さにならないし、速度はジョギングくらい』
『おぅふ。思った以上にへちょかったっ』
『あと、物を浮かせるとかは重い物が無理だし』
『うーん。つまり魔法自体は使えるんだよね?』
『使えるけど、他の人より、しょぼくなるんですよねぇ』
『んー……どうなの?サラ。どういうこと?』
『まぁ、簡単に言えば、は危機意識がはっきりしている、ということかな?』
『というと?』
『暴発しかねない量の魔力を外には出さないように、無意識でセーブしているんだろう。
おそらく、授業でもギリギリ及第点、といったレベルじゃないか?』
『……まさかの私のチキンハートのせいだった』
『えっと……ドンマイ☆』



とりあえず、交代でしばらく観察した結果を、お互いに報告しあった後、 今のところは、彼女を調べても面白くない、という結論しか出なかった。
しかも、ジョージなどは、年下の女の子を尾け回しているようで気が引けてきたらしい。
しばらくしたら、そろそろ止めてはどうかと言い出したのだった。

まぁ、僕としても、区切りは欲しいところだったので、とりあえずキリの良いところまでやったら、 後はもう放っておいても良い気はしていた。
なにしろ、あの子、害はなさそうだし。
ただ、僕たちは良いのだが、彼女がグリフィンドールの席で食事をすることに対して、 思うところがある連中もいるようなのだ。
なので、僕はジョージに軽い制裁くらいはしておくべきだと主張しておく。


「ガス抜きっていうのかな?他の連中がやったら、やりすぎかねないだろう?
だから、僕たちで代表して、悪戯をしてやったんだ!と思わせれば、 少しは連中の溜飲も下がるんじゃないかと思うんだ」
「うーん……まぁ、悪くはないと思うけど。
そもそも、スリザリン生がグリフィンドールのテーブルで食べているっていう、あの子の落ち度もあるわけだし」


まぁ、大部分の生徒は、あの子が銀髪の少年に連れられてテーブルに着いたところを見ているので、 あそこで食べているのが100%あの子の意思だとは考えていない。
ヘビノは押しも強そうだったので、彼女はある意味仕方なく、あそこで食べているのだ、と。

がしかし、そのヘビノやらリドルやらやらと仲が良さそうにしていることに、 少数とはいえ、反発するグリフィンドール生がいるのも事実なのだ。
なにしろ、今年の1年生は、上級生からも同級生からも支持されているものだから。
中には、スリザリン生のくせに、グリフィンドール生に色目を使う雌猫だ!
などと言う過激な連中までいる。
思春期の女子って、偶に本当にエゲツないよなぁ。

まぁ、別に大したことをやるわけではない。
せいぜい、女子の嫌う虫やら蛇やらのおもちゃを降らせるとか、 爆竹を鳴らして驚かせる程度のものだ。
それで、本格的ないじめを回避できるなら安いものだろう、と、 僕たちは安直な考えの下、悪戯を仕掛けることにしたのだった。







決行は1月も終わりが見えてきた頃の、金曜日の夕方だった。
彼女はいつも週の終わりに、マクゴナガルからも補習を受けていて、 その終了後を狙ったのである。
夕食を食べに行くには少し早くて、 でも、寮の談話室に戻るほどの時間はない、という微妙な時間。
彼女は、どうやらそれを散策に充てているらしく、 いつも、中庭に行ったり、校内を見て回ったり、のんびりと歩いている。
そして、最後には必ず、大広間近くの柱のところに立ち、 他の編入生たちと合流後、いつもより少し早く夕食を食べるのだ。

多くのホグワーツ生で混む時間よりも少し早いが、人目が皆無、というわけではない。
そこそこの人間が、食事をしようと大広間に入っていくだろう。
大事にしたくはないが、ある程度のグリフィンドール生には知られて欲しい、という、 こちらの条件にぴったりのタイミングである。

ホグワーツの数あるメジャーな抜け道の一つに身を潜め、こっそりと少女の様子を伺う。
彼女は、柱にもたれながら、ぼんやりと壁を見つめていた。
特になにか見て面白い物がある訳ではないので、なんとなく時間をつぶしているだけだろう。
その無防備な姿に、ジョージと顔を見合わせて頷き合う。

そして数分ほど息を殺し、グリフィンドール生の中でも、 噂話が特に好きな女子が廊下に現れたのを見計らって、僕たちは行動を開始した。


蛇よ出よサーペンソーティア!」「終われフィニート!」


ボト ボト ぼとぼと


「ひゃあっ!!?」


僕は蛇を4、5匹くらい少女の頭上に召喚し。
ジョージは、あらかじめ廊下の高いところに浮かせておいた蛇や虫のおもちゃを、 浮遊呪文を解除することで落とし。
瞬きの間に、少女は周囲をゲテモノで囲まれることとなった。
おもちゃは浮かせる関係で軽い物ばかりなので、当たってもダメージはない。
がしかし、突然そんなものが振ってきたら、小さな子なら泣き叫ぶところだろう。
これで驚いて醜態のひとつやふたつ晒してくれれば、悪戯は成功である。
(これでも、我らがロニー坊やのくまちゃんを巨大タランチュラに変えた時よりは、女子相手ということで自重したのだ)

さて、彼女はどんなリアクションをしているだろう、と期待と共に目を凝らす。
すると、


「〜〜〜〜〜っ」


少女は降って来たおもちゃを体から払い落し。
自分の周りにそれらが散乱したことを、見回して驚愕の表情を浮かべ。
次の瞬間には、近くの窓に杖を向けていた。


「へ?」


そして、バーン!と開け放たれる窓。
一気に、その場に冷たい冬の風が入り込む。


「なんで窓??」


その不可解な行動にきょとん、と目を丸くしていると。
彼女はなんと想定外にも、手袋をしたその小さな手で、 むんずと足元の蛇の尾を掴んだのであった!

まるでその行動についていけない周囲の視線など知らぬように、 その愛らしくて、幼気で、虫も殺せなさそうな少女は。


ぶんっ ぶんっ ぶんっ!



その場で蛇を投げ縄のごとく振り回す!



「「「ええええぇえぇ!?」」」


もはやその光景は視覚の暴力だった。
どう見てもちっちゃくて可愛い子が、蛇をぶんぶんと音を立てながら振り回している。
そこには欠片の容赦もなさそうだ。
と、10数えるくらい振り回した後、少女はその勢いのまま、 蛇を先ほど開け放った窓の向こうへとフルスイングで放り投げた。


「いぃっ!?」「なっ!」「はぁ!?」


先ほどの叫びでギャラリーが少しずつ増えているのも構わず、 少女は息つく間もなく、次々と蛇に狙いを定め、尻尾に手を伸ばす。
まさに、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ……といかうは回しては投げ、回しては投げ、である。
最終的には、最後の1匹を外へ出した後には、 思わず周囲が拍手を贈ってしまったほどであった。

少女はそれに恥ずかしそうに、困ったように眉根を寄せる。
と、うっかり一部始終を見てしまった面々から、次々に少女は声をかけられる。


「だ、大丈夫!?」
「はい。びっくりしましたけど」


え、あれ、驚いてたの!?凄い冷静に対処してなかった!?


「怖くなかったの!?」
「ええと、毒蛇じゃなかったので、なんとか……」


いや、確かに毒蛇なんか出してないけども!
毒蛇かそうじゃないかとか見分けられるものか!?嘘だろ!?
っていうか、毒蛇じゃなくても噛むからな!?よい子は絶対マネしちゃいけません!


「っていうか、なんで振り回したの!?」
「ああ。ああすると、蛇も目を回すんですよ。それで外に出しちゃえばもう安全です」


ああ、そうだよな。蛇って寒さに弱いもんな……って!
スリザリン生っていったって、別に蛇に慣れてる訳じゃないだろ!?
そこで振り回すか!?普通!

実は編入生の一人が家でめちゃくちゃ蛇を飼っていて、 しかも彼女がそいつの親友だということはまるで知らない僕たちは、 何故か悪戯が失敗したことに、驚くことしかできない。

そう、あまりの衝撃に僕たちは、だから反応できなかった。


「皆さんにお願いがあるんですが……。
あそこの通路に隠れて色々投げつけてくださった、 双子のウィーズリー先輩方を是非捕まえてくださいませんか?」
「「!!?」」


大変にこやか且つ、有無を言わせぬ口調で言われた言葉にも、 それに間髪入れずに反応した、諸々の人間にも。







結果、僕たちはその場にいた上級生達にあっさりと捕まり、 縄でぐるぐる巻きにされた状態で、少女の前に献上された。
ちっちゃな可愛い子のお願いだったからか、それともそんな子をいじめたせいなのか、 縄が体に食い込んで結構、地味に痛い。

が、少女の様子から、自分たちの役目はそこまでと思ったようで、 彼女以外の面々は、僕たちと少し距離を置き、遠巻きに僕たちを見守る姿勢を見せた。
まぁ、幾ら僕たちが全面的に悪いと言っても、相手はスリザリンの子だし。
同じ寮生としては、とりあえずつかず離れず様子見、といったところなのだろう。

そして、少女は、人が離れたのを確認すると、ぐっと腕を組んでこちらを睨みつける。
あからさま程に怒りを前面に押し出したその表情は、今まで見たことのないものだ。


「……で?見知らぬ他寮の下級生をつけ回した挙句、嫌がらせをした理由はなんですか?」


なるほど、僕たちが最近、尾行していたことに気づいていたのか。
それなら、すぐに僕たちの仕業だと断定したのも、分からなくはない。

彼女の確信に満ちた言葉に、とぼける無駄を悟り、 僕たちはとりあえず黙秘を貫くことにした。

と、淡々と事情聴取をしようとする少女の言葉に、ひたすら無言で対応すること約5分。


「……そうですか。言いたくありませんか……って、いい加減にしなさぁああぁいっ!!」


結果、少女がブチ切れた。


「ここどこだと思ってるんですか!?学校ですよ!?
大広間の前とか、騒ぎ起こしたら皆に迷惑だって分からないんですか!?
巻き込まれた人に悪いとか思わないんですか!!」
「「え、そこ!?」」


蛇やらなにやらを落とされたことではなく、 他への迷惑を真っ先に指摘する姿に、こっちとしてはポカンとするしかない。
がしかし、彼女は僕たちの困惑なんてまるで分からないようで、 なおも、廊下中に響き渡る高い声を張り上げる。


「そこに決まってるじゃないですか!
いきなり目の前が蛇だらけになったら、苦手な人とか泣き叫びますよ!
どうするんですか!?こんなしょーもないことでトラウマ植えつけたら!
私に対する嫌がらせなら、私だけに来たら良いでしょう!」


ぜぇはぁっと、息を切らせながら、少女――はそう高らかに言い放った。
てっきり大人しいと思っていた少女の激昂する姿は、 なんだろう、小動物が必死に毛を逆立てるかのようで。
言っていることは男前な内容なのに。


「……あれ?」


なんだか、ちょっと可愛い?

周囲が無駄にほっこりしている気がするのだが、 きっとこれは僕の勘違いではないはずだ。

と、僕たちの反応があまり彼女の思し召す感じではなかったらしく、 はなおも、「ここを誰が掃除すると思ってるんですか!フィルチさんにも大迷惑ですよ!!」とか、
「蛇だっていい迷惑ですよ!こんなくだらない嫌がらせに使われるなんて!!」とか。
自分のことは放っておいて、僕たちの反省を促すようにキレ続ける。
がしかし、


「「…………」」


僕たちはそこで気づいてしまった。
一生懸命、僕たちを叱る彼女の手が、人知れずプルプルと震えていることに。
握りしめた拳が、緊張のあまり、真っ白になっていることに。

多分、人前で声を上げることも。
こうして誰かを叱ることも。
この少女には向いていないのだろう。

でも、それでも。
はそれを止めない。
そうすることが、彼女の中で正しいことだからだ。
嫌でも怖くてもなんでも、やる必要があると、思ったから。


「…………」


きっと、あの手は包み込んであげると、驚くほど冷たくなっているのだろう。
そう思うと。
なんだか堪らない気持ちになってきた。

ふと、周囲を見れば、同じようなことを考えているような表情ばかりで。
そう。つまり、彼女がキレればキレるほど、周囲の目が生温かくなっていく……。


「……なんか、あれだ。家にいる妹思い出してきた」
「あ、お前も?実は俺もでさー。マジ膨れたほっぺたが天使すぎるんだよ……っ」
「良いわねぇ。ウチなんか、可愛くない弟しかいないわよ?」
「あら、良いじゃない。私の家なんか、小汚い兄しかいないわ」
「こんな妹が欲しかった……!」
「ウチのノリZに似てる……!」
「いや、お前のところのノリZって猫だろ……。せめて人間にしてやれよ……」


気が付けば、のことを見る連中の目には、厚意と好意が入り混じっていた。
どうやら、僕たちは思ってもみない方向で、 に対するグリフィンドール生の悪感情を払拭することに成功したらしい。
思わずジョージと顔を見合わせて、苦笑する。

そして、二人で声をそろえながら、心から頭を下げた。


「「ごめんなさい。もうしません」」


それから少しして。
この話は、後からやってきたスネイプに「なんでもありません」と、 グリフィンドール生の間に、静かに浸透していった。





悪戯完了!





......to be continued