小さな親切は大きなお世話だ。 でも。 Butterfly Effect、25 ざわざわざわ 基本的に、自分の授業ではありえないことなのだが。 今、この地下牢教室には、激しくはない喧騒が、しかしひっそりと息づいていた。 普段であれば、そういった場合は、それだけで人を殺せそうな視線を送るのが常であるが、 しかし、今日に限っては生徒たちの気持ちもわかるため、 寧ろ、諸悪の根源に向かって、目を向けた。 「今日は……うわぁ、おできの薬だってさ。あたし、あれ嫌いなんだよねー」 「え、なんでなの?」 「芋虫を切り刻むから。しかも均等に」 「……うわぁ」 「には辛そうだな。私がやっておこう」 「え、ぐりさん良いなー!サラ、あたしのも!!」 「それはペアのリドルに頼んでくれ」 「げ」 「君が無様に土下座をして頼むなら、やってあげないこともないよ?」 「この土足文化で土下座要求!?え、普通に嫌ですけど!?」 「ああ、ちなみに完璧に作れなかったら、その時は分かってるよね?」 「やってくれないくせに、求められるクオリティが高すぎるっ」 教室中の視線とざわめきの中心、それは+編入生組だった。 ただでさえ、新顔には注目が集まるというのに、 連中ときたら、暗黙の了解である寮の垣根も、完全に無視である。 それは見せられた他の生徒からすれば、ざわめくなという方が無茶だろう。 元々、この魔法薬学はグリフィンドールとスリザリンの合同ではあったが、 人数の関係で丁度、自分の寮の友人と組めるようになっていた。 ところが、そこにそれぞれ編入生が入ったためにバランスが崩れてしまったのだ。 普通であれば、少し人数が多くなっても自分の寮の人間と組むところなのだが、 なにしろ、は普通ではない。 (普通の奴だったら、そもそも自分と同級生であった以上、今この教室にいないはずだ) 当然のように、編入生たちと一つの作業机を占領し、 今日の授業内容についてあれこれと喧しく騒いでいた。 とりあえず、他の生徒に悪影響を与えかねないので、 つかつかっと連中に近づき、地を這うような声で名前を呼ぶ。 「ミス 」 「ひっ!?」 「私語は慎むように、と何度言ったらその脳みそに刻まれるのかね?」 途端、怯えたように肩を竦める、小心者が一人。 「……お言葉ですが、授業の役割分担をすることは私語にあたらないのではないですか?教授」 厭味ったらしく、こちらをけん制してくる不機嫌顔が一人。 「ええと、おできを治す薬の手順は……まず、芋虫を刻んで?」 「そう、それで次は教科書の通りに鍋を準備して……」 「火から下ろして、山嵐の針を入れる?」 「ああ。下ろさないと悪臭が漂う」 「じゃあ、鍋敷きもいるね」 「そうだな」 我関せずで、授業準備をしているのが二人。 とりあえず、黒髪の編入生に、嫌味を返しつつ、 間違いなくこの机が今日の要注意箇所だと再確認する。 後半の二人は真面目に見えるし、恐らく大丈夫だろうが、残りの二人は問題児にしか見えない。 (というか、馬鹿に対してマウントを取っているこの少年はなんだ?ヤバイ奴か?) 経験上、こういう奴が魔法薬学の危険性も理解しないで、 なにかしらのトラブルを起こしたり、人の指導を無視して勝手なことをしでかすのである。 そうなると、周囲の人間、ひいては自寮の生徒に危険が及びかねないのだ。 そう、例えば彼らの隣の机にいる秀才、ミスター ノットであるとか、ミス グリーングラスだとか。 興味深々で視線を送っている、後ろの机のミスター マルフォイはもちろん、 なにより同じ机で作業しているミス も危ない。 ちらり、と真面目に板書をノートに写して、工程を確認する少女に目を移す。 元の姿?は知っているので、見た目に反して彼女が落ち着いているのは、頭で理解しているものの、 しかし、あまりに幼気な姿に、ナイフなど持って、自分の指を切らないだろうか、とハラハラしてくる。 元の姿はどちらかというと薄幸の美少女というか、可憐な印象だったが、 今の姿は本当に幼く、小動物のような庇護欲をそそるものだった。 東洋人は幼く見えるという話で、実際も他の1年生と比べるとかなり子供っぽくみえるのだが。 それにしても、ミス は小さかった。 下手をすると、片手で抱えあげられるのではないだろうか? 密かに、スリザリン生の間でペットのように可愛がられている、という話を小耳に挟んだが、 この姿を見ていると、あながち嘘ではないのだろうな、と思える。 本人の性格からすると、内心、顔を引きつらせていそうだが。 だが、そんな小さな諍いを起こすくらいならと、自分の不満などは簡単に黙殺してしまいそうだ。 とても大人には見えないのに、大人びたその姿に、最初は驚いてしまった。 まぁもっとも、そんな風な少女だから、ブラックの馬鹿がつけあがるのだが。 いけ好かない闇払いのことをうっかりと思い出してしまい、眉間に皺が寄る。 奴は、最初に自分が見つけたからなのか、ミス の保護者を気取って付きまとっていた。 賢者の石の件に便乗してホグワーツにまで乗り込んできた時には、我が目を疑ったものだ。 例え親友の息子がいようが、ダンブルドアの要請だろうが、 自分がいる時点で、普段なら絶対に引き受けなかったであろう、退屈な学校の警護。 しかし、それを引き受けた時点で、少女への執着が見て取れる……。 『フン……!ロリコン教授に言われる筋合いはないな』 と、奴のあまりに失礼な言葉が耳に蘇り、手元で教科書がミシリ、と嫌な音を立てた。 誰が、一体、な ん だ と ……? この、真面目に寝る間も惜しんで教職に身をやつしている人間を捕まえて? あろうことか、幼女趣味、だと? 一度ならず、年端もいかない少女を壁際に追い詰めていた、 下半身が本体のような貴様にだけは、死んでも言われたくない言葉だ! (……ねぇ、スネイプ先生のお表情が般若みたいになってるんだけど。さん、なにかしたの?) (あー、あれ?大丈夫だいじょうぶ。 あれはリリーにちょっかいかける奴か、シリウスのこと考えてる時の表情だから。 放っておけば、その内元に戻るよ) (……うーん。大丈夫感があまりないけど。さんがそう言うのなら……) はっ!思い出しただけで、殺気が漏れてしまった。 いかん。そろそろ授業を始めなければ……。 一度ゆるりと頭を振って切り替えると、バチンっと音を立てて教科書を閉じることによって、静寂を促す。 「さて。では……幾ら愚鈍な諸君らでも、黒板の内容くらいは把握したことだろう。 準備のできた者たちから、作り始めたまえ。吾輩に――……」 「ぶふっ!」 がしかし、出鼻を挫く、なんとも不愉快な息を吐く音がした。 「…………」 「…………」 「…………」 もちろん、発生源はわざとらしく顔を背けている馬鹿女である。 (オイ、今噴き出したのはどういう意図があるんだ?) が、これにいちいち付き合っていては、日が暮れてしまう。 なので、黙殺して再度話を続ける。 「ゴホン。とにかく、質問があればその都度吾輩に――(ぷっ!) ……質問するように。ただし、あまりに下らん質問はしないようにしたまえ。 吾輩も――(ぷーっくくっ)無闇に寮の減点がしたい訳ではないのでね……」 話の間も、容赦なく笑い転げる馬鹿に、さっき以上の殺意が芽生える。 オイ、貴様。それで抑えているつもりじゃなかろうな? 声も表情も隠せていないからな。 思いっきり、周囲が顔面を蒼白にしているからな! 良い度胸だ、授業後に無事に談話室に戻れると思うなよ……? 幸いにも、休み前のおさらいとして作らせた魔法薬は大方が採点基準をクリアし。 なにかを爆発させたり、妙な事故を起こしたりすることなく終わらせることができた。 ミス も、サポートが優秀なおかげか、本人の努力故か、 なんとか授業を乗り切れたおかげで、ほっとしたような、酷く満足げな表情だ。 なにしろ、短い期間で一気に色々と詰め込んだので、 その表情を見て、教えたこちらとしても、安堵している。 ただし。 「――以上で、解散とする。嗚呼、それと……」 ルーピンの養い子が、実は自分の友人だと気づいて初の授業は。 「ミス は残りたまえ」 「ひえっ!?」 それを差し引いても非常にやりにくく、面倒なそれだった。 顔を青くし、まるで死刑執行を待つような悲壮な表情をした。 縋るように周囲に視線を送ったものの、それを助けてくれる人間はいなかったらしい。 (というか、黒髪の編入生に至っては、爽やかすぎる笑顔で去っていった) 大方の人間が心配そうに。 けれど一部は呆れたような表情をしつつ、いなくなる。 と、地下牢教室に二人になったところで、しょぼくれたが口を開いた。 「ナンデショウカ、スネイプ先生」 「……言われなければ、分からないのか?」 「いや、ええと、分かってます。ええ、もうばっちりと」 これで、実は頭の回転の悪くないは、 しかし、周囲に人目がないこともあって、昔のような口調で「いや、だってさ!?」と口を開いた。 それに、一瞬だけ、懐かしい気分になる。 「だって、友達が一人称『吾輩』になってるんだよ!?笑う所でしょ!?」 …………。 ……………………。 一瞬って、短いな。 「しかも、なんか舞台俳優かな?ってくらい勿体付けた話し方だし。 いちいち動作も大きいし。なんなの、あの本の音で周り黙らせるの!? スネイプ劇場を特等席で見せられた人間の気持ちになったことある!? あんなん、笑うなって方が無茶でしょ!?」 がしゃべればしゃべる程、懐かしいという悪くない気分が、真っ黒に塗りつぶされていく気がした。 そう、こいつは頭が悪くないくせに馬鹿だった。 そんなこと思い出したくなかったが。 「これでも大分がみゃんふぉ……っいひゃいっいひゃい!」 「下らない理由で授業妨害をしたのはこの口かね?うん?」 「いひゃいっへ!にょばひゃひゃいへよ!?(痛いって!伸ばさないでよ!?)」 「貴様が、サバを読みまくって学生をしている点について沈黙を守っている私に対して、 これが貴様なりの感謝の表し方だとでも言うのか?どうなんだ?」 「あ……わがひゃいじゃにゃくにゃっは……(あ……吾輩じゃなくなった……)」 「…………」 「〜〜〜〜っいひゃいいひゃいいひゃいっへ!!(痛い痛い痛いって!!)」 ぎりぎりと、己の持てる握力全てで、その柔らかい頬を引きちぎるよう力を入れる。 恐らく、冗談抜きで痛いだろうが、知ったことではない。 やがて、本気での目に涙が浮かんできたのを見届けて、私は手を放してやった。 「うぅううぅ。痛いよぅ。熱持ってるよぅ……」 「まったく。貴様と言う奴は……っ」 「ひっ!ごめんなさいごめんなさいっ」 あまりに変わらなさすぎて。 馬鹿すぎて。 酷く、毒気を抜かれる。 実は案外、悪い気分ではないけれど。 と、ひとしきり痛みを堪能したのだろう、 若干回復したは恨みがまし気にこちらを睨みつけてきた。 「セブセブの阿呆っ!リリーに言いつけてやる!」 「……待て。言いつける相手がおかしいだろうが」 百歩譲っても、言いつける相手は上司である校長だろう。 正直、自業自得以外の何物でもないので、言いつけた方が恥ずかしいと思うが。 「セブセブの保護者=リリー!何も間違ってないだろ!バーカばーか馬ー鹿!」 「勝手に人を被扶養者のように言うんじゃない。 まったく。お前は中身まで見かけに引っ張られるのか」 いくらなんでも、話す内容まで小学生並みになっているのは如何なものか。 本当にお前はあのミス の友人か? ……嗚呼、いや、寧ろ逆なのか? 真逆だから成り立つ関係なのか?? 「……ミス も気の毒なことだ」 「…………!」 思わず、憐憫に満ち溢れた溜息が漏れる。 すると、はその漆黒の瞳をまん丸に見開いて、まじまじとこちらを見つめてきた。 「……なんだ?その目は」 「え……いやぁ、そのぉー……うーん。これ言って良いのかな……」 えらく歯切れの悪い様子だが、そこまで言ってしまったら、 もはや聞かないという選択肢がなくなることに何故気づかないのだろう。 うんうんと唸っているに、目線でさっさと話せと促してみる。 「えーと……じゃあ、あの、ぶっちゃけ、ぐりさんのことってどうなの?」 「質問が抽象的すぎる。もっと端的にしろ」 「えぇー、一応セブセブを慮ってぼかしたのに……。 だからさ、ぐりさん。可愛いでしょ?」 「……で?」 「いや、セブセブもいい加減、新しい恋に目覚めてみちゃったりなんかしちゃったりするのかと……」 自分で言い出したくせに、後半はほとんど聞き取れるか否かという、囁き声になっていた。 なんとなく、話の展開的にそんな内容な気はしたが、 自分相手にそれを言ってくるその度胸には脱帽である。 なにも知らずに言うのではなく。 全てを知って口を噤むのでもなく。 それでも意を決して、口に出したのだろう。 そんな、先ほどよりよっぽど悲痛な表情だった。 言われた自分より、よっぽど痛そうだ。 思わず、目元を覆って、天を仰ぐ。 そして、零れたのは、盛大な、盛大な溜息。 「……はぁあぁあああぁー」 「う……っ呆れないでよっ」 全く、この陰気だの陰険だのと言われている仕事人間に、そんな心配をするのはこの馬鹿くらいのものだ。 「まず第一に、なんでもかんでも色恋につなげるな」 「う……はい」 「次に、お前がどう思おうと勝手だが、妄想を口に出して人に迷惑をかけるな。 ミス が友人だというのなら、なおのことだ」 「……はい」 「そして、最後に……お前も分かっているだろうが、リリーは特別だ。 この先なにがあろうとも、自分がどうなろうとも、だ」 彼女に代わる存在なんて、ない。 唯一無二。 今でもずっと、彼女が幸せであることを、自分は願っている。 「ただ、流石に、学生時代のように、彼女を想ってはいない」 「っ!」 彼女が、あの口にするのもおぞましい男の嫁になってから、すでに十年以上が経っている。 その間、自分はずっと見てきたのだ。 彼女が、本当に幸せそうに暮らす様を。 彼女なら、もっと幸せになれたと口で言うのは簡単だけれど、 でも、あれ以上に美しく笑う彼女を、自分は知らない。 その功績のほとんどはきっとハリーのおかげだと確信しているが。 爪の先ほどは、眼鏡の男の功績であることも確かで。 本当に、心の底から憎んでいるし、大嫌いで最低な男だとは思っているけれど。 その一点だけは。 本当に、それだけは、評価していなくもない。 「傍でなくても良い。彼女が笑っているのならば」 不意に、長年のしこりを口に出したことによって、身体がふっと軽くなる。 それは多分、過去とようやく完全に別離したことを示していた。 とっくに吹っ切れたつもりでいたが、実は案外そうではなかったのかもしれない。 「セブ、ルス……っ」 と、どこか晴れやかな気分に水を差す、の湿っぽい声がした。 驚いて見てみれば、ぼろぼろと、目から大粒の涙をこぼす少女がいた。 「……あた、しはっ!」 「セブルスにだってっ」 「しあ、わせに、なっ……ほしっ」 とぎれとぎれの聞き苦しい声で。 それでも必死に、絞り出したそれに。 「…………」 思わず、苦笑が漏れる。 多分、それは初めてこの馬鹿に向けた笑みだった。 「本当にお前は馬鹿だな……」 ――私は、充分幸せだ。 昔は、そうは思わなかったけれど。 今こうして、自分の好きな魔法薬に関する仕事について。 日々大きくなっていく、愛しい人の子供を、幸せの形を、間近で見られて。 時々、お人好しの馬鹿を怒鳴って。 めまいがするほど、自分は満ち足りていた。 もちろん、そこまで懇切丁寧には教えてやらないけれど。 「だから、そう心配するな。余計なお世話だ」 「〜〜〜〜っ!うっさい!放っとくと一生独身貫きそうなセブセブが悪いっ!」 「相変わらず失礼な奴だ……。 だからといって、会って1ヶ月も経っていない人間を勧めてくるな! 世話焼きのばあさんか、お前は!?」 「バカ野郎!あたしの交友関係の狭さをなめんなよ!? 見た目も中身も自信をもってお勧めできる人材には限りがあるんだよっ!」 放っておいたら、通販番組のようなことを言い出すだった。 しかも、「※ これは個人の感想です」みたいな感じに、 小声で「まぁ、ぐりさん相手だと障害がなきにしもあらずなんだけどさ……」とか呟きだす始末だ。 「障害?」 なんだ、それは言葉が通じないとか、魔力が暴走する、とかそんな類の話か? そう、反射的に考えてしまった自分に、は神妙な顔で頷いた。 「そう。もれなく、世紀の大魔王との対決が付いてくる」 「世紀の大魔王……ああ、ひょっとして、あの編入生か?」 のヤバ気なセンスの方に気を取られてしまったが、それでは話が進まないので、 とりあえず、ミス を甲斐甲斐しく世話していた、銀髪の美少年を思い浮かべてみる。 見た目は高級ビスクドールを思わせる容貌だが、 偶に感じた物々しい雰囲気と視線は、確かに危険な感じがした。 「そう。リリーにセブセブがもれなく付いてきたみたいに、 ぐりさんにはサラがもれなく付いてきます」 「オイ」 「しかも、サラはセブセブみたいに優しくないので、手段は選びません」 「……自分で言うのもなんだが。ミス は大丈夫なのか、それ」 「それだけでなく、最近ではシリウスっていう番犬まで付きます」 「……やはりそうか」 「しかも、こいつは無自覚なので、面倒です」 「元々、かなり面倒だが」 何故だろう、話せば話すほど、あの儚げな少女が憐れになってくるな……。 対人運というか、妙なのに執着されすぎだろう。 まぁ、だからといって、じゃあ自分の庇護下に……なんて、いきなりならないが。 「……というか、ミスター ヘビノもお前の友人じゃなかったのか? 普通、長年想いを寄せている人間を応援するものだろうが」 ブラックを応援したくない気持ちは分かる。 それはもう、非常に分かる。 だが、ヘビノは大魔王だろうがなんだろうが、友人と呼ぶからには、なにがしかの良い点もあるはずで。 何故、自分に話を振ってくるんだ、と言外に尋ねると、 は、心底困ったように眉根を寄せながら、重い口を開いた。 「いや、まぁ、サラとくっつくならそれが多分一番問題ないんだろうけど。 なんていうか、嫌な予感がして……」 「嫌な予感だと?」 不穏な言葉に、ぴくりを肩が跳ねる。 「ぐりさん、一人だけ違う寮になっちゃったから。 なんていうか、よく分からないけど、同じ寮で味方になってくれる人が必要な気がして……」 「……お前が言うと洒落にならん」 が、これでもこいつは『名もなき魔法使い』。 その言葉は、心に留めておく必要がありそうだ。 ちなみに、余談だが。 そんな感じで、実のあったような、なかったような会話をしてと別れ、 明らかに泣いた後の奴の姿を見て、ルーピンが夜中に自室を襲撃してきたりもするのだが。 濡れ衣だと声を大にして、どうにか事なきを得ていたりする。 気持ちだけは受け取っておこう。 ......to be continued
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