自分の居場所がないと、思っていた。
けれど。






Phantom Magician、135





Celestia = Slytherin

青年はその言葉に、すっと目を細める。
相変わらずつり上がった口元からは、「ご名答」と言われているようにも、 的外れな言葉を面白がっているようにも感じ取れた。

彼は、呼びかけに答えない。
黒猫も、その膝から動かない。


「あたしは、凄く助かったし、嬉しかったけど」


思い出すのは、彼との、彼らとの日常。
殺伐として。
上手くいかないことばっかりで辛くて。
でも、笑いに溢れていた日々。
あたしにとって、宝石みたいにキラキラしていた数ヶ月。

それもこれも、全てはただ一人の案内人が一緒にいてくれたから。
ただ、


「スティアにしてみれば大変で面倒なことばっかりだったでしょ?」


幾ら頭の回転の悪いあたしでも分かることがある。
あたしには、スティアが必要だった。
右も左も分からないマグルで、一文無しで、弱いあたしには、 相談役で、案内人で、護ってくれる誰かが、いなくてはならなかったのだ。
そうでなければ、とうの昔にあたしはのたれ死んでいたことだろう。
でも、スティアは……そうじゃない。

が迷ったり困ったりしたときに、案内してあげるのが、僕』

なんでもできる俺様ナルシーな彼には、あたしは必要不可欠じゃあ、ないのだ。

すると、その言葉に、彼は小さく苦笑した。


「どうやら、君の中で僕がスティアなのは確定みたいだね」
「うん」


即答する。
他のなにを迷っても、これだけはもう、迷う余地もない厳然とした真実のように。


「だって、この前あたしに言った言葉はケーのじゃなかった。
あれは、スティアの言葉だったよ」


叫びの屋敷で取り乱した『ケー』が発した言葉の数々。
それが、身近な黒猫の言葉と次々重なった。

なにをしてるんだよ、君はっ!?
誰かを噛んだ狼男が罪悪感で傷つくのを、見たくなかったんじゃないのか!
前に言っていたことと違うじゃないか!
君はそうやってきっと何度だって僕の想いなんて平気な表情で踏みにじってくんだ。


普段の彼であれば、上手にキャラクターを演じ分けたことだろう。
毒舌な案内人と、どこまでもあたしに甘い麗人と。
二人の印象は重なることはない。
でも、余裕のなかったあの日、あの時、あの場所で。
彼はきっとそんなこと考えることもしなかったのだ。

と、そんなあたしの考えに、しかし青年は待ったをかけようと、 自分の膝の上で丸くなっている黒猫を指差した。
それは、ただの猫ではもちろんなくて。
どこまでも、見慣れた案内人のそれ。


「そう……。なら、ここにいるこれは誰なのかな?」
「……スティア、かな」
「そして僕も?」
「スティアだね」
「ふふっ。それはおかしくない?動物もどきアニメーガスとしてはありえない。
それじゃあ、同一人物が同じ場所に二人いるみたいだよ?」


矛盾点を指摘する彼は酷く生き生きとしていた。
やっぱりこいつはドSだな、なんて、また一つ自分の考えを肯定する材料を発見する。


「誰が動物もどきアニメーガスだなんて言ったよ?」
「?嗚呼、じゃあ、もしかして、どちらかが時間を越えてやってきた、
未来のスティアだとでも言うのかな?」


思い浮かべたのはタイム・ターナーで自分達を目撃していたハリーの姿。
なるほど、それなら、彼が自分で挙げた矛盾点を解決することができるだろう。
けれど、あたしの直感が。


「違うね」


彼の言葉を否定する。


「それは確かにスティアの体だと思うよ。
でも、中身は多分、空っぽだ」
「…………」


ピクリとも動かない体。
死んだように、動かない胸。
傍から見たら、立派な死体だ。
幽体離脱、とでも言うのが正しいのか分からないし、この世界でそれができるのか知らないが。
スリザリン、だなんて名前を持っている時点で、目の前の人間に常識を求めても仕方がない。
そして、あたしは『スティア=ケー』という図式を思いついた時点で、
芋づる式に思い当たった根拠を訥々と彼に披露していく。

まず、ケーとスティアが同じ場所で話しているのを、見たことはなく。
例え同じ場にいたとしても、スティアは死んだように動かなかったこと。


「動き出したのは、そう……ケーがいなくなった、その直後」


そして、彼らの性格の共通点。
計算高く、あたし以外には非情とも取れる態度で。
二人とも、悪戯仕掛け人のことを嫌っていたこと。


「ふーん。でもそれだけじゃ、根拠としては薄弱だ」
「うん、そうだね。もちろん他にもあるよ」


例えば、二人ともあたしの心を読み取れる、ということ。


「魔法の世界だから紛れがちだけど、よくよく考えてみたら、
あんなテレパシーみたいに考えたことが伝わる、なんてこと小説の中でなかったよね。
離れた場所でも使えるくらい、都合良く」


まだある。
二人とも、不可能とされているはずのホグワーツ内での姿くらましをいとも簡単に行っていた。
そんなこと、ダンブルドアにだってできないのに。


「あとは……うん。過去に来てケーの前で大泣きした後にね、 あたし、『ケーの前では泣いてばっかだ』とか、そんなこと言った気がするんだけど。
ケーはそのことを、否定しなかったんだよ。
現代でのことを除けば逢うのが二回目で、助けて貰ったのは、時系列から言って初めてのはずなのに」


それに、その時彼は言った。
「君がそれを望むなら」と。
みぞの鏡の前で願ったあたしに、黒猫が言った時と同じ。
優しくも切ない響きで。


「スティア、ずっと自分は猫じゃないって言ってたし」


だから、ケーはスティア。
セレスティア・・・・=スリザリン。


「でしょ?」







推理とも言えないあたしの拙い語り口を、静かな瞳で聞いていた青年は、 その言葉に、内緒話でもするように声を潜めて優しく呟く。


「……その名前、嫌いなんだけどなぁ」


そして、彼はとても綺麗に微笑んだ後、瞬きの間にその姿を消した。


『思ったより早くバレたね。
もうちょっと騙せるかと思ったんだけど』


まぁ、君があの姿の時にそう呼びかけた時から、こうなるのは分かってたけどさ。
青年が消えた直後に起き上がった黒猫は、尻尾をくねらせながらそう言った。
それは、なによりもこの世界で慣れ親しんだ声と姿。
スティアがその金の瞳をひたとこちらに向けてそこに佇んでいた。


「嘘付け。大して隠す気もなかったくせに」


偽名が『K』とか、今考えると狙いすぎにも程がある。
あたしの好きな黒猫の歌。
初めて、歌で涙を流した、思い出の曲。
そのタイトルこそが『K』だった。


『だって、君、別に頭悪い方じゃないからね。
いつかバレるのは分かってたんだよ。だったら、ヒントでもあげようかなって思ってさ』


くつり、と性格の悪そうな笑い方をするスティアだった。
このままだと、間違いなくこいつのぺースに嵌められそうだ。
そうなると、この絶好の機会を逃してしまいかねない。
それだけは避けなければ、とあたしはぎゅっと眉間に力を入れて、口を開いた。


「さて。じゃあ、大事なことを確認したところで、本題に入ろうか」
『あれ、今のが本題じゃないの?寂しいなあ』


軽口めいたことを言ってくるスティアに対し、 あたしは半ば以上睨み付けるように視線を向ける。

嗚呼、嫌だ。
言いたくない。
こんなこと、スティアに対して、絶対に言いたくなかったのに。

言わなければ、前に進めない物もある。
あたしが、それがなければ、進めない者であるように。
深呼吸を、一度だけして。



「今回の事件。黒幕お前だろ」



名探偵ではなく、むしろ判事のように。
断罪するように、そう言った。

居たたまれなさに、今すぐ回れ右をして、ベッドに逆戻りしたい衝動があった。
でも、実際のあたしの足は、地面に縫い付けられたかのように動かない。
動かしてはいけないけれど、それ以前に、動けない。
目の前で、小さなはずの黒猫が、大きく膨れあがったかのようなプレッシャーを放っていた。

そして、黒猫はまるで悪魔の使いのように、邪悪な笑みを浮かべる。


『……ふむ。それはまた面白い見解だね。
リドルが今回の事件を引き起こした張本人だっていうのは衆目の一致することだと思うけど?』
「そう、引き起こしたのはリドルだよ。本人だって、自分の意志でやったって言うだろうね。
でも、そう誘導したのはスティアだ」


愉快そうな口調とは裏腹に、その金色の瞳は少しも笑っていなかった。
そのことに、恐怖すら感じながらも、あたしは自分の考えを披露する。
スティアは、リドルを始末するために、セブルスの事件を利用したんだ、と。

最初、リドルを呼び出すときに、スティアは確かにこう言っていたのだ。
リドルが更生するなら生かせば良いし、なにか仕出かせば始末すれば良い、と。
でも、生かしてしまったら?
第一の目的であるヴォルデモートの退治はできなくなる。
それじゃあ、駄目なのだ。
だから。
そうしても良い、と言いながら。
スティアはずっと、そうならないように、画策していた。


「あたしだってさ。悪の道突っ走ってる奴の命乞いまではできないからね」


凄く嫌だし、後味だって最悪だけど。
それはやっちゃいけないことなんだってことくらいは、あたしにも分かる。


「だから、リドルに事件を起こさせるように行動した。
最初から不思議だったんだよ。たった一日で、リドルが体を実体化させたのがね」


日記でやり取りする最低限の魔力しか渡さないって、言ってたくせに。
まさか、あたしが部屋を留守にした半日で、リドルが別の人から魔力を奪ったとも思えないし。
なら、誰かがわざと魔力を渡したとしか考えられない。
でも、誰が?
可能性が高いのは……誰だった?


「リドルも魔力のストックがなければ、無茶なことはしなかったと思うんだ。
あの性格だから、いつかはやったと思うけど。
やるとしたら、あたしから魔力が思うように取れなくって、苛々した挙げ句だと思うし。
でも、それだとなにかさせるまで時間がかかる……」


ここからは推測、どころか希望的観測になっちゃうけど。
それでも、スティアが時間をかけたくなかった理由には、心当たりがある。


「時間がかかって、あたしがリドルを好きになったら困るって思ったんでしょ?」


その場合の好き、は恋愛とはイコールにならない。
寧ろ、親愛。
長く一緒にいることで生まれる、情。


「だから、自分から事件を起こすよう仕向けた。
スティアのことだから、精神的にも散々追い込んだりしたんじゃないの?
リドルのなりふり構わなさ、やっぱりおかしかったもんね」


そこまで考えを披露したところで、あたしは一度目を閉じた。
返ってくるはずの答えが怖くて。
帰ってこないかもしれない、平穏が恋しくて。
そうせずには、いられなかった。







と、そこでぱちぱちと無感動な拍手の音が響いた。
目を開いて、音のする方へと視線を向ける。


「凄いね、。全部見ていたみたいだよ」


紛れもない賞賛をその瞳に浮かべて、今度は青年の姿の彼がそこにいた。
理由は簡単。猫の姿では拍手できないからだろう。
(黒猫は、ぐったりと青年の腕に引っかかっていた。上着かよ)


「これでも結構大変だったんだよ?
リドルに僕の大切な人をセブルスだって誤解させたり、リリーを生け贄にしたりね」


お前、そんなことまでしてやがったのか、とは言わない。
言える訳がない。

そして、一瞬で体を変化させた青年が、そこで初めて一歩踏み出した。
間にあったはずの距離が、すぐさま詰められる。


「で?僕のことを馬鹿犬にしたみたいに殴るの?
良いよ。一発くらいなら、殴られてあげる」


にこにこと、無邪気な言葉は、ケーというよりスティアのそれで。
彼は、とうとう猫を被ることを止めたようだった。
人の姿の時の方が猫、だなんて笑えもしないけれど。

そして、あたしはそんな彼の綺麗な顔をじっと見つめて。


「……はぁ。殴んないよ」


やがて逸らした。


「だって、それ、全部あたしのためじゃんか」


スティアのことだ。自分のためだと言いかねないけれど。
そこに、あたしの責任が皆無なのかと言われれば、そうではなくて。
スティアを殴るなら、あたしは自殺くらいしなければ、不公平という物だろう。
でも、自殺なんてしてしまったら、スティアがここまでやってくれた全てが水泡に帰す。

そう。
だからこその最初の問い。
どうして、君はそんな風にあたしのためにあらゆることをしようとする?
分からない。
分からない。


「分かんないよ。スティア」


ここまでくれば、馬鹿でも気づく事実。
彼は自分を『守護者』だと言った。
あたしはその守るべき物をホグワーツだと勘違いしたけれど。
思えば、彼はきちんとあたしに言っていたのだ。

『僕が、君を守るよ』

自分が守るのは、あたしだと。
はっきりと、その口で。

でも、彼の奇異なところは、あたしを守ると言っても危険から遠ざけるわけではない、というところだ。
あくまでも、あたしの希望を彼は優先する。
その方が、遙かに面倒で厄介であるにも関わらず。


「あたしなんか、そんなボロボロになってまで、なんで守るんだよ……っ」


目の前で微笑む彼の傷は見えない。
体はもちろん、その心も。
でも、多分スティアはずっと傷ついてきた。
そのことに思い当たると、混乱と悔しさで涙が滲む。

そして、ぐずぐずと、涙と一緒に出て来た鼻水をすすっているあたしに対し。
スティアは困ったように眉根を寄せながら、手を伸ばしてきた。


「……なんで、って言われてもね」


よしよしと、あたしより大きな手が、頭を撫でる。
幼子を宥めるように、何度も。何度も。
嗚呼、これも、猫の姿ではとてもできないことだな、なんてぼやけた頭が思う。


「どうして分かってくれないのか、逆に訊きたいくらいなんだけど。
前提条件がまず間違っているんだよ、君の場合」
「ぜんてい、じょうけん?」
「そう。前提条件」


「君は、僕にとって唯一無二なんだよ」


取り替えなんて利かない。
代わりなんて、どこにもない。
平々凡々なんかじゃなくて、どこまでも非凡な存在。


「君が、僕の生きる意義なんだって、言ってるじゃないか」
「ってないっ!」
「そう?じゃあ、今言った」
「〜〜〜〜〜誰かに、無理にやらされてるくせにっ
そこまで、するなんて、スティアは馬鹿だ!」


スティアは最初、誰かに言われて仕方なく、というスタンスだった。
でも、彼があたしを護ろうとしていたのは最初からで。
そのことが解せないし、無性にムカついた。


「馬鹿とくるのか……」


と、あたしのあんまりな批難にむっとしながらも、 すぐにスティアはなにか思い当たったのか、不意に意地の悪い笑みを形作る。
頼むからケーの顔で、そんなニヤニヤって効果音の付きそうな表情をしないで欲しい。
美形はどこまで言っても美形なんだけど!
何事にもあれだ。イメージって奴があるワケで。
と、あたしが内心唸っていると、
ケーの爽やかイメージぶち壊しの表情のまま、スティアはあたしをしげしげと観察する。


「嗚呼、そうか。つまり、は僕が君を護るのは義務だと思っているワケ?
誰かに言われて、嫌々護ってやろうって奴なんていらないって?」
「そっ!?そこまでは、思ってない、けど……」


否定の声は、しかし、力が無く尻つぼみだった。
限りなく図星に近かったからだろう。
そして、スティアは項垂れるあたしに対して、トドメとばかりに、爆弾を投下する。


「じゃあ、嫉妬かな?」
「!!?」
「僕がズタボロになってまで、その相手の希望を叶えようとするのが気に入らないワケだ。
自分がダシに使われているような気がするんでしょ?」
「っ!おっまえ、人の心、読むなよ……っ」
「読まなくたって、この位分かるよ」


反論の言葉は、すでになかった。
自分の浅ましさが浮き彫りにされたようで、羞恥に顔が赤くなる。
背中は嫌な汗が出ていて、矮小さばかりが自己嫌悪を煽った。
がしかし、それこそ名探偵のように人の内情を看破してみせたスティアは、そこで。


「馬鹿だねぇ、は」
「っ」


花のような笑みを咲かせた。
それは、今まであたしが見た彼の表情の中で、一番嬉しそうな表情だった。
白い頬は血の気を上らせて薔薇色に輝き、 漆黒のはずの瞳は、夕日のような美しい宝石色に変わっている。
美の化身と呼ばれるような存在を悉く屈服させそうなくらい圧倒的な輝きだった。
……正直、最近見慣れてきたはずのあたしでさえ、あまりの神々しさに絶句した。


「確かに、始まりは人に与えられたものだったけど。
君を護るのは僕の義務じゃなくて、権利だよ」
「い、意味分かんないし……」


頑なに、彼の言葉に空とぼけるあたし。
そんな遠回しな言葉じゃなくて、もっとストレートに言って欲しい。
我が儘だと言われようと、今更だ。
確かな物が欲しい。
確かな言葉が欲しい。

と、あたしのそんな期待に、美麗な人はにっこりと笑みを深めた。


「じゃあ、訊くけどさ。
この僕が誰かの言いなりになると思う?」
「……………………。
………………………………思わない、けど」
「嫌いな人間を健気に護るとでも?」
「……思わないよ。でも!」

「っていうか、あの男に偉そうに命令されたりしたら、
僕、間違いなく奴のすました顔に呪いをぶつけるよ?」
「…………」


紛れもない殺気を感じ、あたしは思わず黙った。

『あの男』

それはきっと、スティアにきっかけを与えた人で。
多分、あたしが考えている、奴。
…………。
……………………。
とりあえず、今この場にいるワケじゃないけど、お前に問いたい。
お前、スティアになにしたんだよ、と。


「……嫌われすぎじゃねぇか」
「うん?なにか言ったかな?」
「イイエ。ナンニモ?」


まぁ、詳しいことは本人に訊けたら訊くとして。
それよりも、今欲しいのは、奴ではなく、スティアからのそれだった。
物欲しげな視線は多分なくなっていないだろう。
自分でもそのことを自覚しながらも、しかし、期待の籠もった視線を止めることが出来ない。
そして、スティアはそんなあたしに対して。
仕方がない、とでも言うようにようやく欲しかった言葉をくれた。


「僕はね。君を護りたいから護ってる、そういうこと」
「っ」


言葉にすれば、それはなんともチープな告白だった。
でも、そのチープさこそが、あたしの求めていたものだった。


「……つまり、あたしにラブってことで良いですか?」
「面と向かってそういうこと言っちゃう君の度胸に脱帽だけど、
ごめん、僕の好みはもっと恥じらいのある人だから」
「花も恥じらう乙女だろうが」
「花に恥じらって欲しいんじゃなくて、君に恥じらってほしいんだよ」
「ケーの顔でそういうこと言うな!」
「煩い。これが僕の自前の顔だ」
「自慢の顔!?こんのナルシストめ!その通りだよ!!」
「……君、僕を褒めたいの?貶したいの?」
「褒めて貶してるんだよ!」
「…………」
「…………」
「君のそういうところ、嫌いじゃないよ」


あたしも、君が大好きです。
言葉にしない代わりに、あたしは力の限り、目の前の人に抱きついた。





あたしはまだ、君と一緒にいれますか?





......to be continued