過去の行いは必ず自分に返ってくるって言った人がいたよね。 Phantom Magician、122 フジ ミネコ様 ワラ人形から上がる火の粉も眩しい季節が続いていますが、如何お過ごしでしょうか? おかげさまでこちらは大過なく過ごしています。 先日のハロウィンの件では、丁重なお礼をありがとうございました。 先輩も兄たちとの距離を縮められたようで、僕も深く安堵しています。 ミネコさんもなにかと気苦労の多い日々を過ごされたことと思いますが、 今後は少し余裕を持って彼らの様子を見ることができるのではないでしょうか。 話は変わりますが、最近実家で――… 「――ごろを迎えているようです。是非今度訪ねてみて下さい。 最後に、先輩は今度のクィディッチに急遽代理で出場が決まったそうですね。 その折にはミネコさんも応援にいらっしゃるのでしょうか。 お時間があればアフタヌーンティーなどは如何ですか? 色よいお返事を期待しております。 末筆ながら、ミネコさんのますますのご活躍をお祈り申し上げます。 ……レギュラス=アークタルス=ブラック」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 …………。 ……………………。 目の前の手紙を矯めつ眇めつする。 しかし、書いてある文字は変わらない。 目頭を強めにこすってみる。 しかし、書いてある言葉は変わらない。 (っていうか、文字がぼやけて、寧ろ見づらくなった) ならばと、最後の手段としてほっぺたをつねってみる。 「……あれ、おかしいな。ちっとも目が覚めない」 『多分もう起きてるからじゃないかな』 「いやいや。だって、レギュラスがおかしなこと書いてるよ。 絶対、これ夢だって。白昼夢だって」 『いや、まぁ、何度も言うようだけど、夢には違いない……って、あー、紛らわしいな。 でも、うん。別にレギュラスはおかしなこと書いてないよ?』 いや、冒頭からすでにおかしいだろ。 なんだよ、『ワラ人形から上がる火の粉も眩しい季節』って。 なんの呪いだよ。超怖ぇよ、そんな季節。 『ああ、それは“ガイフォークスデイ”っていうイギリスの秋の風物詩だよ。 かなり端折ると、テロリスト的な人が爆弾しかけたけど、無事阻止しましたって記念日』 「何故にそれでワラ人形……」 『テロリストに見立てて燃やすらしいよ』 「魔女狩りか!」 『ちなみに、タフガイとかナイスガイとかのガイはここから来てるらしいね』 「あたしの中の“ガイ”に対するイメージの良さが崩れていく……っ」 って、ワラ人形はどうでも良いんだっつの。 (かなり気になる一文だったからスルーできなかったけど) それよりなによりもっと気になる、っていうか気にすべき一文があったはずだ。 そして、あたしは、さっき図書館でいつものように渡されたレギュラスからの手紙を、 ベッドでゴロゴロしながら解説している黒猫さんに突き付けた。 「なんっっっっで、あたしがクィディッチの代表選手になってんだって話だよ!!」 喧々錚々の言い争いになることを想定しての、大上段からの抗議。 がしかし、スティアの反応はものすごーくつれないものだった。 じろじろを人のことを一通り見たかと思えば、 『…………』 無言。 『…………』 まだ無言。 『…………』 っていうか、無言!? いっつもいっつも、いらんところにまでつっこみを入れてくるっていうのが、 お前の唯一無二のアイデンティティじゃなかったのか! 『……いや、それが唯一無二って』 「……ごほん。気を取り直して。 なんっっっっで、あたしがクィディッチの代表選手になってんだって話だよ!!」 スティアの反応がようやく得られたところで、TAKE2である。 すると、『いや、僕に訊かれても……』と表情を顰めるスティア。 一応、億劫そうにではあるものの体を起こしてはくれたので、話す気にはなったらしい。 『っていうか、それ本当の話なの?勘違いとかじゃないの?』 「シリウスならともかく、相手はあのレギュラスだよ?」 『あー、確かに、シリウスじゃないもんね。……でも、なんでそんなことに』 と、スティアは失礼なこと(お互い様☆)を言いながら、その金色の瞳を細めた。 どうやらあたしのことはいまいち眼中にないらしく、『鹿?いや……』と微妙に独り言中。 いつもあたしの訊きたいことを先回りする、奴らしからぬ態度である。 普段なら、ここでこれこれこういうことだよ、とか爆弾発言かますくせに、 どうやら今回は本当に関わり合いがないことなのか、思案しつつも微妙に不機嫌そうでもあった。 リドルといい、こいつといい、奴といい、あたしの周囲にいるのは根っからの黒幕体質らしい。 「てっきり、いつものようにスティアの陰謀かと思ったのに」 『君も大概失礼だよね……。 っていうか、君の箒の腕知ってる僕がなんでそんなことしなきゃいけないのさ』 「そんなもんあたしが知るわけないじゃんか。 でも、ホラ、スティアにしか分からないなにがしかの仕掛けとか、伏線って可能性もあるかなーと」 『あっはっは。君が箒でズタボロになることのどこにメリットが発生するんだかご説明願いたいね。 そんなのいちいち僕がフォローに出るっていう面倒臭さしかないよ』 「……お前のが遥かに失礼だわ」 心配とかじゃなくて、真っ先に出てくるのが面倒臭さなのかよ。 しかも、ズタボロ前提かよ。花の乙女になんてこと言うんだ、お前。 ついこの間、なにかの用事で森に出かけて以来、こいつはほとんど寝てばかりいたので、 なんだか久しぶりの長々とした会話なのに、本当につれない黒猫さんである。 がしかし、だ。 スティアも関知していないとなると――…… 「――ってことで、釈明があるなら今すぐ言ってみろ変態ストーカー眼鏡野郎」 「え、ちょっ、ギブギブ!なんでいきなりチョークスリーパー!!?」 同じ男子寮の強みということで、あたしはスティアを肩に引っかけ早速ジェームズ達の部屋を急襲してみた。 すると、なんとも有り難いことに、真っ先に扉を開けて出迎えてくれたのが鹿男だったので、 ここぞとばかりに頭をホールドする。 「クィディッチに関することでなにか企むとしたらお前しかいないだろ。 さぁ、吐け。それ吐け。っていうか吐け。 あたしは選手なんて嫌だっつってんのに、無理矢理選手にしようとしやがったな?」 「〜〜〜〜〜〜っ」 と、ドスの効いた声で凄んだあたしだったが、 どういうわけだか、ジェームズは無言だった。 ……あれ?ここはてっきり「やれやれバレちゃったか」って言い出すところだと思ってたんだけど。 バタバタと手足は動くものの、ジェームズはひたすら無言である。 と、その耳が真っ赤になったのを見て、嫌ぁ〜な予感が首をもたげる。 「……ひょっとしてオチちゃったとか!?」 嘘だろ、オイ。あたしにそこまでの力ねぇよっ!? バッと慌てて手を放す。 がしかし、紫色にでもなっているかと思われたジェームズの顔色は幸いそこまでではなく。 「ジェームズ??」 「…………っ」 若干赤いという程度だった。 意識も、目がウロウロ彷徨ってはいるものの、 とりあえず、「あ、ああ……あり、がとう」と反応を返しているので大丈夫だろう。 いや、うん。若干頭に酸素行ってなさそうな反応だけど。 首絞めた相手にお礼言ってどうすんだ。 マゾか。マゾなのか。 いや、リリーに対しては真性のそれだって知ってるけど、他の人には基本Sですよね、ジェームズさん。 ……やっぱ窒息してた? 脳みそ酸欠危機的レベル?? 危ぬぇええぇぇぇー!もうちょっとで人殺しになるところだった!! っていうか、普段ペラペラよくしゃべる奴が無言だとちょっと気持ち悪……ゲフンゲフン。 本音はサラリとオブラートに包み、あたしは未だにこっちを見ようとしないジェームズを見つめた。 「えっと……大丈夫?」 なんていうか、頭が。 そして、奴がやおらこっちを真っ直ぐ見てきたかと思えば、 ようやく返してきた言葉に、事態の深刻さを悟る。 「うん、えっと、大丈夫ダイジョーブ。……なんていうか、男のロマンだよね」 「え、殴り合って夕日に向かって『お前やるな』的な??」 駄目だ。手遅れだった(合掌) いや、元々手遅れ気味に壊れた思考回路の持ち主だってのは分かってたんだけどさ。 会話すら成り立たないレベルになったとは……。 やっぱあれだな。あたしの天使ことリリーとはまるで釣り合わないわ。 と、そこであたしはハリーがそれでも存在しているという事実になんとも言えず微妙な表情になり。 (薬でも盛って既成事実でも作りやがったんだろうか、このダメガネは) そんなあたしたちの異様な雰囲気に、 それまでなんとなく成り行きを見守っていたらしいシリウスが口を開いた。 「突然乱入してきたかと思えば、なんだよ?お前」 「うん、いいね。その今までのやり取りを全力でスルーする心意気。嫌いじゃない!」 「いや、好きとか嫌いとか心底どうでも良いけど。 クィディッチがどうしたって?」 『おお。珍しくもシリウスとまともな会話が成立している……』 スティアの呟きには心からの同意をしたいところだったが、 それだと話が全く前に進んでくれないこと請け合いだったので、 あたしは全力でその話に乗ることにした。 「いや、風の噂であたしがなんでかクィディッチの代理選手になったって聞いたんだよ」 「はぁ?」 怪訝そうな表情を隠しもしないシリウス。 風の噂ってか、お前の弟情報ですけど。 が、なんでそんな情報貰ってんだと突っ込まれると、また面倒なことになりそうなので黙っておく。 っていうか、実は前々から思ってたんだけど。 シリウスもレギュラスも実はお互い超大好きだよね、実際。 っていうか、うん。過保護?って言った方が正しいかも。 前に図書館でどーのこーのあった時も、レギュラスとの文通が発端だとかなんとかどこぞの眼鏡が言ってたし。 お兄ちゃんは離れちゃったけど、弟君が心配ですって感じ? ……レギュラスの手紙、必ず一回はシリウスに対する愚痴入るんだけどね。 しっかり物の弟より、直情傾向の兄のがよっぽど心配なのだが。 それは言わぬが華という奴なんだろう。 と、そんな風にドラえ○んばりの生暖かい視線をうっかり向けそうなことを考えていたあたしだったが、 しかし、シリウスの言葉にそれらの思考は雲散霧消した。 「噂もなにも、は?なんでかって……お前なに言ってんだ?」 「なに言ってんだはあたしの台詞なんだが。なに、そのぽかんとした表情」 世のシリウス好きならカメラで激写する位レアな表情だが、 生憎あたしのラヴァーは笑顔の素敵な監督生様(NOT マールヴォロ)なので、 なんか馬鹿にされたような気しか起こらなかった。 ので、微妙に拳を固めて、ヤンキーばりの睨みを利かせる。 『……君ってつくづくヒロイン向かないね』 そんなあたしの様子に、スティアが嘆きに嘆きまくっているが、んなもん知らん。 この場にリーマスがいたら、もうちょい可愛げも出ようというものだが、 しかし、見たところ、部屋にいるのはジェームズとシリウスの二人だけだった。 よって気を遣ったり、取り繕ったりする必要性は皆無である。 「ってことで、殴っても良い?」 「……お前の訳分かんなさにはもう慣れたけどよ。 ついでのように人を殴ろうとするんじゃねぇ」 「失敬な。ついでに人殴る訳ないだろ。つい、で殴ることはあっても」 「なお悪いわ」 シュッと軽く拳を向けると、簡単にシリウスはそれを受け止める。 (ジェームズじゃないが、なんか男同士の友情っぽくてちょっとときめく自分がいた) (しっかし、こいつ手デカイな。流石に男と女じゃ違うわ) 「っていうか、お前本気で言ったのか、さっきの」 「は?さっきのってどれ?バイオレンス発言??」 「いや、明らかにクィディッチの話じゃないかな。今の流れなら」 と、あたしがシリウスと戯れている間に回復したのか、 ジェームズが平静を装った表情でナチュラルに会話に参加してきた。 「で、シリウスの疑問に対する答えだけど。 は本気だよ。本気で、クィディッチの選手になったって経緯も話自体も知らなかったんだ」 「「はぁ??」」 いやいや、お前、なんでそんな決定事項言うみたいなこと言って……。 と、てっきり冗談かなにかかと、あたしは笑って突っ込みを入れたが。 返ってきたのは、苦笑と絶句。 ……あるぇ〜? 「え……。冗談、だよね?」 「「…………」」 「あたしがクィディッチの選手とか、ねぇ?」 「「…………」」 「……いや、だって!おかしいじゃん!!本人知らないとかさぁ!?」 何故だろう。 あたしはなにも間違ったことを言っていないのに、嫌な予感しかしない。 そして、その予感を裏付けるように、ジェームズが頬を掻いた。 「うーん。というか、本人にこそ知られないようにしてたって言った方が正しい、かな」 「げ……。なら、あれってマジ話だったのか?てっきりデマかと」 「あー、なにも言ってこないと思ってたら、そう思ってたんだ。なるほど」 「お前ら、なに当人置き去りに会話してんの!!?」 え、ちょ、本気で面倒事の臭いがぷんぷんするっ! それも、回避不能なレベルで物事進んでるような気配が……っ!! 「いや、だからね?」 そして、あたしは。 「グリフィンドールのシーカーがスリザリンの奴に呪いを掛けられて 急遽代理が必要になったんだけどそしたらキャプテンがしかいない!って断言して それを聞いた寮生が一丸となって君のことを選手に祭り上げようとしてる、みたいな?」 一息に事情を説明したジェームズの腹に渾身のボディーブローをお見舞いした。 ことの顛末は、まぁ、さっきのジェームズの話で通じるが。 詳細を語れば、こういうことらしい。 その日、グリフィンドールのシーカー君は、来るクィディッチシーズンへ向けて、 基礎体力作りのために早朝の走りこみをしていたんだそうな。 すると、どうやら、その日課を調べ上げられていたらしく、謎の連中に待ち伏せを喰らい、 見るも無惨な姿に変えられてしまった、と。 正直、なんで謎の連中なのにスリザリンと断定できたんだとかつっこみどころは満載なのだが、 まぁ、今問題とすべきはそこじゃない。 問題なのは、もうすぐレイブンクローとの試合だ、ということなのだ。 呪いを解くための魔法薬は熟成期間が必要とのことで、 寮としてはまず試合には間に合わないだろうと、見切りを付けてしまったらしい。 で、控えの選手はもちろんいるのだが、そこはやはり、正選手と比べると小粒感が拭えず。 しかも、情報戦を得意とするレイブンクローなので、傾向と対策もばっちりされている。 ならば、情報皆無の隠し球=あたしなんか良いんじゃないだろうか、 とキャプテンが寝言をほざきやがったから、さぁ、大変☆ ジェームズは止めたらしいが、うっかりメンバーはノリ気になってしまったらしい。 あの選手選考会の後、あれだけあたしが拒否しまくったというのに、懲りない連中である。 で、まぁ、正面から頼んでも断られるのがオチなので、周囲をまずは固めて、 ここはNOと言えない日本人気質を利用しようとした、と。 『相手の攻略法としては間違ってないかもね。それ』 「〜〜〜〜〜〜っ!?」 「いや、僕は本当に無理だと思うって言ったんだよ? でも、そうしたら、みんな俄然やる気になっちゃってさー。 当日に決定事項みたいな空気を醸し出してたら、 幾ら君でも断れないんじゃないかって思ったみたいなんだよね」 「なんだよね、じゃねぇよ……っ」 そこはもっと全力で反対しろよ! 他人事みたいな空気出してるけど、あたし出したら、お前ら絶対ぇ負けるんだからな!? っていうか、死人出るんだからな!!(決定事項) 『……うーん。君の実力誤解されてるからねぇ』 あれだけ無茶苦茶な飛び方したのに、なんでそれで誤解が生じてるんだよっ 確かにジェームズには勝ったりしちゃったけども! どう考えても、あれは悪運以外の何者でもなかっただろうが!! くっそ、あの酷い腕前を見せて、二度と誘われないようにしようって魂胆もあったのに。 なんでか逆効果200%じゃんっ! あり得ないあり得ないと思わず頭を抱えてしまう。 もう本気で頭痛くなってきたんだけど。 嗚呼、いつもならこの手の面倒臭いことは、 スティアとかリリーがちゃちゃっと発生前に潰してくれたりしてたのに。 あれだよね、二人とも体調不良とかタイミング悪すぎ。 うあー、でも二人に頼りすぎてる自分がそもそも悪いのか? 自分で種まいちゃってる感じだもんなぁ。 明らかにあたしのせいだよなぁ。 どよーんと、一気に自己嫌悪に襲われる。 すると、そんなあたしに憐れでも感じたのか、スティアが慰めるように体をこすりつけてきた。 『まぁ、良かったんじゃない?当日じゃなくて今分かったんだから』 「……まぁ、今からなら手は打てる、か」 不幸中の幸いと言うべきか、こうして事情が分かったからには、拒否、これしかない。 こうなれば、ジェームズを締め上げてキャプテンの部屋に直訴しに行かねば。 そう思ったあたしに、しかし、シリウスは理解できないとばかりに声を上げた。 「はぁ!?お前、まさか断るとか言わねぇだろうな?」 「まさかもなにも、一から十まであたしは拒否しかしてねぇだろうが、このアンポンタン」 「あんぽ……?いや、まぁ、どうでも良いけど、お前目立つの好きだろうが。 ここまで期待されてんのに断るとか、意味分かんねぇよ」 「お前の目は節穴か!」 この、平々凡々を絵に描いたようなあたしが、目立ちたがり屋とか、 今まであたしのなに見てたんだよマジで。 いや、褒められたら調子乗っちゃうけど! ブタもおだてりゃ木に登っちゃうけど!! 「あたしは木陰でそっと見守るタイプなんだよ!! 人前とか出ると具合悪くなっちゃうレベルの奥ゆかしい人間なのっ」 「お前こそ、自己分析もっとちゃんとしろよ……!」 若干以上に失礼なシリウスの言葉。 正直、右から左に聞き流した部分だったのだが、 あたしは数日後、その忠告をきちんと聞いておくべきだった、と後悔することになる。 というのも、 「、頼む!!」 「断る!!」 「、お前しかいないんだ!」 「みえみえの嘘吐くな!!」 「せんぱぁ〜い。私達ぃ、応援してますね☆」 「……っ、いや、だから、あたしはやらないって!」 「どうしてなんだ、!?お前なら、お前なら助けてくれると……!」 「ほ、他当たって下さい、先輩!!」 「ひっく……うぅ……酷い、です。本当なら、勝てる試合なのにっ」 「〜〜〜〜や、あたしがいなくても大丈夫だよっ?」 「今年こそはいけるって信じてたのにな……。 さえ出てくれれば、心強かったのに。残念だよ」 「や……だから、あの……」 「え?試合に出ないとか、嘘……ですよね?」 「いや、嘘っていうか……」 「無理に、とは言えないけど。でも、そうか……出てはもらえないのか」 「う……うぅ、無――」 「――無理じゃない……けど……」 「なに!!!?そうか、よく言ってくれた!!期待してるぞ、!!!」 あたし、自分で思ってる以上に押しに弱かった……っ それでも、こんな茨の道歩くほどの業、背負ってましたっけ? ......to be continued
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