少し変わった日常に、しかし、思い描くのはいつでも同じ。 Life Is Wonderful?、49.5 嗚呼、本当にオレって奴はなんて運がないんだろう。 これも日頃の行いのせいだろうか。 いや、これは違ぇだろ。オレ一つも悪くねぇだろ。 と出逢う前ならいざ知らず、今のオレは世間様に顔向けできないようなことは何一つしていない。はずだ。 なのに。 なのにどうして。 「あ、八戒その肉取ってー!」 「それは良いですけど、野菜も食べた方が良いですよ?悟空」 「八戒、くれぐれもシラタキと肉を近くに置くなよ」 「あら、固くなった肉がおいしいんじゃない。分かってないわねー、三蔵」 「……なんだと?、手前ぇ、スキヤキのなんたるかが全く分かっていないようだな」 「ふふん。味覚音痴の言葉なんて私には通じないわ。あ、悟浄、お酒切れたわ。持ってきてちょうだい」 「あ!オレもコーラ追加なー!」 「じゃあ、僕もお野菜を」 「麩はどうした」 「手前ぇら、調子のってんじゃねぇえぇえぇー!!」 コイツらにパシられなきゃなんねぇんだよ!? 嗚呼、くっそ!絶っっ対ぇ、今日のさそり座は運勢最悪だろ! 『楽しい予定に余計な邪魔が入るでしょう』とかなんとか言われてたんだゼ、きっと! ことの始まりは、そう。 つい一週間前に降った大雪。 例年にない大寒波襲来とかで一気に寒くなった日々を、さらに彩る白の世界。 電話越しにと話し、「寒い寒い」と呟いていたあの日のことだ。 ぶっちゃけてオレは寒さに弱い。 冬なんかになると、もう一歩も外になんざ出たくなくなる。 (もっと厚着をすれば良いのに、とか八戒の奴には小言を言われるが、それはオレの美意識が許さない) 雪なんてものが降ればなおさらで、なんでよりによってをデートに誘う横でンなもんが降りだしたのかと、 あの時、心の底から気まぐれな空を呪った。 だから、は「そんなに寒いのなら、次はそっちに行こうか?」と提案してきてくれたのだ。 所謂お部屋デート。いや、オレの場合はお宅デートか? 愛しの彼女が、自分の為に家に来て、手料理を振舞ってくれる――。 その光景に心踊らない男がいるだろうか? もし、そんな奴がいるとすればそれは男じゃねぇ。 少なくともオレは認めない。 当然、ふたつ返事でそれを了承し、折角だから鍋にしよう!なんてことになった。 それになにより。 あの、喜びも悲しみも、様々なものが詰まったあの家に、が来ようと思ってくれた。 その気持ちが、なによりも嬉しかった。 『〜〜〜〜♪』 一人で使うには空しいこたつを、物置から引っ張り出してきたり。 鼻唄交じりで掃除機をかけて、準備を整えてみたり。 嗚呼、ガスコンロもいるよな、と思い立ち、良い肉やら何やらをこっそり買い出しに出たり。 そんな、自分でも呆れるくらいの甲斐甲斐しさを発揮して、オレは今日という日を迎えたワケだ。 がしかし、蓋を開けてみればこの通り。 何故かと一緒にが我が物顔で家に突入してきたばかりか、 八戒も日本酒片手に颯爽と現れ、 それだけでなく、仏頂面の金髪美人と子猿までドアを破壊せんばかりの勢いでやってきやがったのだ。 何でだ!オレが何したってんだよ!? 思わず茫然としてしまったり、愚痴をこぼしてしまったりしても、これは仕方がないと思うワケだ。 がしかし、心底申し訳なさそうに、困ったような表情でこっちを窺うの手前、あまり大っぴらに不満も表わせない。 の気持ちが、分かるからだ。 なにしろ、ほんの半年前に倦怠期を迎えたこのオレと、だ。 一度捨てた場所で、和やかに過ごせるなんざ、彼女には思えなかったのだろう。 行くのは、良い。 でも、二人きりでぎこちなくなったり、気まずくなったりしたら嫌だ。 なら、どうしたら良いのだろう? 簡単だ。二人きりでなければ良い。 実際は誰かの助言を受けたとかそんなもんかもしれないが。 ……まぁ、きっとそんなところだ。 一応、復縁したとはいえ、まだまだ前のようには行かないオレら。 デートだってなんだって、喫茶店だとか、常にオープンな場所でのソレだった。 それがお宅デートなんて、いきなり敷居が高過ぎたんだろう。 が、言い出したのはなワケで。 今更なかったことにもできず、結果、サプライズ的な鍋パーティになった、と。 その気持ちは、本当に分からなくはなかった。 が、しかし。 「なによ、気が利かない男ねぇ」 「しょうがねぇよ、悟浄だもん」 「まぁ、悟浄ですしねぇ」 「麩」 これは流石にないんでないの? 「…………はぁ」 幾ら怒鳴っても効果がないどころか、オレの心身への負荷が半端なかったので、 とうとうオレは諦めてキッチンへ行くべく仕切りに手をかけた。 (この家は普段は仕舞っているが、洋室と和室を分ける仕切りがあったりする。暖房効率も上がって万々歳だ) と、オレが開けた丁度その時、今まさに部屋に入ろうとしていたのだろう、 白菜やら葱やら満載のボウルを抱えてが立っていた。 その眼はきょとん、と丸くなっていたが、やがて照れたように僅かに強張りつつも笑み崩れる。 「……びっくりしたー。自動ドアかと思っちゃった。 手が塞がっちゃってて、どうやって開けようかと思ってたの。ありがとう、悟浄」 「いや……」 その表情がツボに入り、オレはその場をダッシュで離れるのが精いっぱいだった。 嗚呼、いよいよオレ、ダメかもしんねぇ。 そんな風に笑ってくれるなら、仏頂面の一つや二つって思った自分が嫌過ぎるっ!! 「…………はぁ」 悟浄がふっとそっぽを向いて足早にキッチンへ向かったのを見て、私は小さく溜め息を零していた。 まず間違いなく機嫌を損ねるだろうな、とは思っていたのだけれど、ここまで微妙な態度が続くと気が滅入ってしまう。 騒がしいのはワリと好きな人だから許してくれるかな、というのは流石に虫が好過ぎたようだ。 後悔と「でも」という言葉が頭を回る。 グダグダと考え込むのは悪い癖だと分かってはいるものの、一度こうなると、なかなか浮上しづらいものがあった。 折角気持ちを切り替えようと自分を叱咤していたタイミングで仕切りが開いたことも、間が悪かったのだろう。 ちっとも、前向きな気持ちになれていない。 私が辛気臭く閉じた仕切りを見つめていると、それに気付いたのだろう、八戒さんが気づかわしげに口を開いた。 「あまり、気にしない方が良いですよ?あれはただ拗ねているだけですから」 「……そうかしら。私の目にはなんか色々一杯いっぱいで逃げ出したように見えるんだけど」 「拗ねてるんでも逃げてるんでもどっちでも良いけどさー。やっぱ溜め息ばっかだとも困るよなぁ」 「フン。馬鹿は放っておけ」 「あははは……」 どれもこれも、私を養護しようとしてくれる言葉で、思わず苦笑する。 どう考えても、悪いのはデートをパーティにしてしまった私だ。 なんだか、部屋の様子を見るに、悟浄は今日をそれは楽しみにしてくれていたらしい。 それを踏みにじったのは、私で。 そのことに罪悪感を覚えつつも、こんな風に残念がってくれている姿に喜んでいる自分がいるのも確かで。 本当に、私も大概歪んでいると思う。 それなのに、目の前の人たちはどうしても悟浄を悪者にして遊びたいらしい。 最初は、色々な過去の行いのせいで邪険にされていた彼。 けれど、段々日が経つにつれて、それがじゃれ合いになっていったのに気付いたのは、いつのことだろう。 特に三蔵さんとなど、馬が合う日は来ないだろうと思ったのに、案外愉しげに話せるようになっている。 これはきっと、本人は否定するけれど、悟浄の人柄の良さのおかげだ。 そこに私なんかは甘えてしまうのだが、彼は困った表情をしつつも、結局は受け入れてくれる。 そこが、まぁ、可愛いなぁと思ってしまうところなのだけれど。 「あんまり、悟浄をいじめないで下さいね?」 「「「「「無理だな(ですね)」」」」」 時々、すごく可哀想だなぁと思うところだったりもする。 「ぷっ……くすくす。そんな声揃えなくても」 今頃、触覚(?)をしょげ返らせているだろう背中を想い、笑ってしまった。 すると、そんな私の表情に、悟空までもが笑みを顔いっぱいに広げる。 それは何て言うか、愉しそうというより、嬉しそうなそれで。 「あ、やっと笑った」 「え?」 だから、私にはその言葉の意味がとっさには分からなかった。 「いや、だってさー。今日ずっと元気ねぇから」 「そんなことは……」 ない、とは言い切れない自分に嫌気がする。 どうしたって、この家は寂しさと悲しさの象徴で。 皆がいるおかげで、まるで別物のように思えるけれど、それでも。 それでも、ふとした瞬間に、後悔が蘇る。 でも。 私は。 そんな自分が嫌だから、敢えてここに来たのだ。 どうも、それはかなりの確率で強がりで終わってしまいそうだけれど。 言い淀む私に、ふっと、が珍しくも優しげな笑みを見せる。 「ないとかは言わないこと。良いじゃない。今更無理なんかしなくたって」 「そうそう。無理したって良いことなんて一つもないって」 「それはまぁ、そうかもしれないけど……」 見栄っ張りな私は無理をしないと、どうしたっていられない。 そう言外に告げる私に、けれど悟空は「良いじゃん。適当で」とあっけらかんと言い放った。 「は色々構えすぎ。だから、そんな微妙な表情になんだよ。 もっと適当にさー、こう、どうでも良いや!って感じになってみたら良いんじゃねえ?」 「でも……」 「でもじゃなくてさ。俺は詳しいことなんか知んねぇけど、 がもうちょい肩の力抜いても、誰も怒んねぇと思うゾ?」 「っ!」 その言葉は、酷く意外であると同時に、私の心に突き刺さるものだった。 『私が肩の力を抜いても誰も怒らない』 私は、誰かに怒られたかった。 けれど、同時に、怒られることが怖かった。 それは意識して。 無意識の内に封じていたこと。 怒られるのが当然の私。 でも、誰も怒ってはくれなくて。 そんな日々が続く内に、その安寧の中で受ける叱責に怯えた。 その場ならともかく、時間が経ってからの叱責は、どんなに理性では理解していても怖くて理不尽に思えるもの。 悟空の言葉は、きっとそこまでの意識はないだろうけれど、酷く的を射ていた。 怒られるのが当然の私。 ……でも。 良いのだろうか。 本当に、力を、抜いても良いのだろうか。 そうだったら、私は。 私、は――……。 「……と、いうワケで、ここはひとつ家事全般、アレに甘えてアンタはここでゆっくり酒でも飲んでれば良いのよ」 「ああ、それは良いですねぇ。あれで悟浄も良い大人ですし。鍋の材料切りくらいできますよ」 「え、でもそういう訳には……」 未だに思いきれず、惑う。 そして、そんな私に三蔵さんは面倒臭げに口を開いた。 「……いいから、黙って飲め」 その心地よい低い声に、私はとうとう抗えなかった。 ……私、三蔵さんの一言に弱い気がするなぁ、と思ったのはきっと気のせいではない。 「あ、ごじょう。おかえりなさぁい」 普段より高くて甘い、どこか間延びした声に、一瞬我が耳を疑った。 「……何がどうなってこうなった」 「「「「…………」」」」 思わず、といった様子で問いかけ、 その場にいた以外の人間の視線がそらされたことに、オレの中で大事な何かが音を立ててぶち切れた。 不本意でもなんでも? のためだからしゃ〜ない、オレもきっといざとなったら色々戸惑っただろうし? だから、百歩……いや一万歩譲って、奴らが鍋をつついている現状を受け入れて? そりゃあもう、慎み深く不平不満を押し殺して、色々用意してきたこのオレを、だ。 待っているのがすっかり出来上がっているってぇのは、一体どういう了見だ? 「て・め・え・ら……」 「おおお、落ち着けって悟浄!三蔵も悪気があったワケじゃあ……」 「「あ」」 口を滑らせた猿の言葉に、諸悪の根源を力一杯睨みつける。 「手前ぇが元凶か、三蔵!!」 「……俺は日本酒を一杯くれてやっただけだ。その後飲みまくったのはオレのせいじゃねぇ」 「まぁ、とはいってもコップで三杯ってところですけどねぇ。ちょっとさんには強すぎましたか」 「酒に弱いにンなもん飲ませんじゃねぇ!」 「知るか!」 逆ギレしつつも、多少は後ろめたいのだろう、微妙に三蔵は視線をそらしていた。 がしかし、そらそうが何をしようが現実は変わらないワケで。 不思議そうにこっちを見てくるの酔いが醒めるワケもなくて。 「手前ぇら全員出ていけっ!!」 オレは問答無用で、騒がしい連中を寒々しい隣りのリビングへと放りだした。 もちろん、聞こえてくるブーイングの一切は無視だ。 寧ろオレの方が文句を言いたい。 何でとの楽しい鍋が、酔っ払い介抱になっちまってるんだよ、と。 「……ごじょう?」 思わずがっくりをうなだれたオレだったが、は何故オレがそんなに意気消沈しているのか分からない様子で小首を傾げていた。 その仕草は、出逢った頃から変わらない酷く可愛らしいもので。 しかし、可愛らしく頬を染めるなんてものじゃない、全身真っ赤な彼女の姿に、どっと疲れが押し寄せる。 正直に言えば、オレは今までここまで酔っているを見たことがない。 だから、彼女が泣き上戸なのか笑い上戸なのか、それとも意表を突いてキス魔なのか、もうさっぱりで。 気がつけばオレは、未知の生物を見るような気持ちで、彼女の次の言葉を待っていた。 「おなべ、しよう?」 「……りょ〜かい」 結論から言えば、彼女がそのどれでもなかったのだが。 「まぁた、随分飲んだのね〜、チャンってば」 「そんなにはのんでないですよ?ほんとうですよ?」 逆の意味で性質が悪かった。 「じゃあ、おなべしよう。ごじょうはー、おとうふとーしらたきとーおにくでいい?」 「……も、すきにして」 なんだ、この可愛い生き物……っ! 言動自体はそこまで普段のと落差があるワケではないし、 いつも通りきちんと気遣いのできる彼女そのものだ。 が、しかしだ。 のんびりとした口調と、さっきまで若干強張っていた表情がふにゃんと緩んでいる姿の破壊力は凄まじかった。 だから、オレに弱いんだってっ! 特にここ半年激よわ…もといバリよわ?なんだって! どれだけかってーと、本人に苦笑交じりに指摘されるくらいの過保護っぷり。 あー、もう良いわ。 あわよくばとイチャチャしようとか不謹慎なことできたらいいなとか思ってたけど、どうでも良いわ。 なんか色々ふっとんだっつの。 そう、もう全部どうでも良い。 彼女がここで、こうして笑っていることだけで、十分だ。 何もかもを押し殺しているような笑顔じゃなくて。 自然で。 透明な。 彼女本来の笑顔で、オレの傍にいてくれるだけで、良い。 だって、がこんな風に傍でくつろいでくれるなんて、奇跡みたいなもんだ。 それ以上を望んだら、バチが当たるってなもんだろ? ……いや、まぁ、それでもオレの腕の中で可愛い表情をしているも見たかったんだけどよ。 と、未練がましく涙をぬぐっていると、目の前にオレの好みを熟知した食材が差し出された。 「はい、ごじょう」 「……さんきゅー」 そのにっこり笑った無垢な表情に、もうオレも笑うしかなかった。 うとうとと。 なんとも心地よい温もりとまどろみから、ふと意識が浮上する。 気分的には、それまでも起きてはいたのだけれど、一瞬靄が晴れたかのような感覚だった。 そして、なんとはなしに目だけで周囲を見回して、自分が酷く奇妙な場所にいることに気付いた。 目の前にあるのは、こたつ布団。 しかし、本来なら見えるはずのない卓上のものが、何故か視界に入っている。 「…………?」 ぼんやりとそのままの体勢で瞬きを数回。 まだお酒のせいで鈍い頭はゆっくりと思考を開始した。 ……なんで、私悟浄に膝枕されてるんだろう?? 確か、一緒に鍋を食べて……。 嗚呼、そうか。お腹一杯になったら眠くなっちゃったんだ。 それで、悟浄にそう言ったら「んじゃ、膝枕でもしよっか?」とか、からかい交じりに言われて……。 あっさり頷いてそのまま寝ちゃったんだ。確か。 間違いなく狼狽しただろう悟浄の姿は、残念ながら覚えていない。 というのも、ふらふら悟浄の膝まで来たら、スイッチが切れたようにそのまま夢の世界に行ってしまったのだ。 ……少し、勿体ない気がした。 もう少し意識がはっきりしてたら、見れたのに。 ここまで酔ったのは人生初体験だった。 体が熱いのはもちろん、頭も霞がかかったように判然としない。 そして、未だにふわふわした心地のする頭は、今の心地よい場所でもう一度寝たいと、命令していた。 本来なら硬くて、とてもじゃないけど居心地なんてよくないはずなのに。 私には、これ以上ない居場所だったから。 がしかし、とろとろと瞼がまた降りてくるのをどうにか理性で押し留める。 いい加減起きてあげないと悟浄が大変だ。 きっと慣れない体制に足が痺れているに違いない。 心の底から名残惜しくて仕方がないけれど、もう覚悟を決めるべく一度瞳を閉ざす。 がしかし、私が身じろぐその直前。 ポスン。 と優しい仕草で頭に手が置かれた。 そして、そっと髪の流れに沿うように、それは丁寧に。 壊れ物に触るかのような仕草で、髪を梳かれる。 何度も何度も。 呆れるくらい、愛おしげに。 その温かくて、大きな手に、知らず知らず、頬が緩んだ。 それは酷く懐かしくて、とてもとても倖せな記憶。 何にも換え難い、とてもとても大切な空間。 嗚呼、そう。 私は、この手が、好きだった。 いや、それは今も。 何で、こんなことも忘れてたのかな……。 あのね、悟浄。 私ね。 悟浄の傍だと緊張して。肩肘張って。見栄だって張っちゃうけど。 それでも。 それでも、私は。 悟浄にしか、甘えられないの。 他の人じゃ、駄目なの。 甘えることも、力を抜くことも。 貴方の傍以外では、できない。 やりたくなんか、ない。 「ごじょ……」 「ん?……起きたのか?」 ――だいすき。 だから、悟浄。 寝言のふりで許してね? 目の前の幸せに、今はただまどろもう。 Life Is Wonderful? ......This is one winter day. But,This is a One of the day splendid above all. ―作者のつぶやき♪― この作品はキリバン5500hitを見事に踏み抜いたうづき様に捧げます。 はい。という訳でお送り致しました、連載『Life Is Wonderful?』の番外編でした。 ええ、リクエストからかれこれ一年と三か月……。 正直、もううづき様が呆れ果てて、言葉もないだろうなと思いつつのアップでした。 本当に、掛け値なしに申し訳ございませんっ! お優しいお言葉に甘えて、こんな待たせているとか、ええ、もう罪悪感で死にそうでした。 リクエストを受けた当初は、書こう書こうと思っている内にすっかり鍋ものの季節を過ぎ、 気がつけば考えていた話やら文体やらが頭の中から消えかかるという恐ろしい事態になろうとは露とも思わず。 ちなみに、リクエストは『Life Is 〜の二人の話を番外編のような形で是非』というものでした。 そこまで彼ら二人が気に入って頂けて、本当に嬉しくて嬉しくて。 滅多なことは書けないな、と思っていたのですが、まさかの展開に。 悟浄さんとヒロインさん、あんまりしゃべってないっ!! あれ、おかしいな、最初に話を考えていた時はもっとこう、ラブラブな感じだったのに。 何故だか、本篇とのリンクを大切にしようとしたら、若干重く……? 背景色のせいでしょうか……。でもでも、お鍋の良い素材がなくてこれが一番しっくりきたんですもの。 ちょっと本編と毛色を変えたかったんですもの。 という訳で(?)、番外編というよりは、タイトルのように本編のようになってしまいました。 だらだら長くなりそうだった部分は、断腸の思いで割愛させて頂きました。 お気に召して頂ければ、何よりも幸いです。 以上、5500hit記念夢『Life Is Wonderful? 49.5』でした! うづき様のみお持ち帰り可です。 本当に応援ありがとうございます!今後も最遊記夢を上げられるよう頑張っていきたいと思います。 ちなみにこの話、ちょっとしたおまけ(笑)があります。 興味がありましたら下に置いておきましたので、どうぞお読みください。 + + + + 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」 今のは何だ!? 寝言!?寝言なのか!? 目ぇつぶってるし、ぼそっとだったし、え、寝言!? ちょっ、頬緩めてンなこと言うとか、誘ってんのか!? いや、待てオレ! ないないない。誘ってるとか、に限ってはまずない。 寝言だ!寝言以外の何物でもない!! 妙な期待はすんな、静まれ、オレの心臓ぉー!! 嗚呼、でも寝言でもンなこと言ってくれてるとか、マジ嬉し過ぎる……。 「……とか絶対思ってるわよ、あの表情は」 「手に取るように分かりますねぇ」 「……なんかオレ、悟浄が不憫になってきた」 「…………」 以上に真っ赤に染まった横顔を見つめるのは、四対の瞳だった。 たった一言でこうも振り回される。 そんな男には、さっきまでの締まりのない、それこそ平和そのものといった穏やかな笑みはもうない。 はきっと気づいていなかっただろうが、ここにいる面々はしっかりと仕切りの隙間からそれを覗いていた。 心の底から愛おしいという、そんな表情を。 想いの深さが如実に表れた双眸を眠る彼女に向けていた、その事実を。 知ればきっと彼女は困ったように眉根を寄せながら。 それでも、やがて頬を染めて微笑むのだ。 傍から見ればあまりに明らかなそれ。 きっと、彼女がもう一度この家で過ごすようになるのは、そう遠い日ではあるまい。 まぁ、そのためには、こうして外野が少し手を貸したり、邪魔したりなんだりをしなければならないだろうが。 「見てるこっちが赤面するっての」 そう、呆れたように口にするは、しかし微笑みを湛えていた。 馬鹿だなぁ、と思いつつも、決して彼らを見る目に嫌悪が映ることはない。 寧ろ、その瞳は時に羨望の色さえ点す。 「羨ましいですか?」 そのことを揶揄するように八戒が指摘すると、しかし、彼女は予想に反してにっこりと笑みを深めた。 「アンタたちほどじゃないわ」 「「「…………」」」 ―作者のつぶやき2♪― おまけは完全に私の趣味です。
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