君の言葉は。 懺悔の言葉。 Life Is Wonderful?、28 結局、憔悴しきったには原因も何も、言えず。 通夜やら葬式やらをして、俺達は日常に戻っていった。 けれど、しばらくの間。 は俺の顔を見れば、縋る様に泣き出して。 「ごめん。ごめんなさ……っ。ごめんなさい」 許しを請う。 顔色はずっと白いままで、目元を紅く染めながら。 俺に謝り続けるんだ。 それが、俺の心を抉っているのに気づかないまま。 「……」 「私があの時ちゃんとしていれば、私が、私がっ」 「、お前のせいじゃない」 「違っ、だって私が……っ」 本当に、のせいじゃないんだ。 だって。 俺が、殺した。 あの時、俺が布団を掛け直しさえしなければ、あの子は死ななかったかもしれないのに。 それなのに。 『自分がちゃんとしていれば』 『あの日に限って、寝てしまわなければ』 そんな、のせいとも言えない事で、彼女は自身を呪う。 違うのに。 彼女のせいでは、ないのに。 けれど、俺は彼女にそれを言わなかった。 自分の罪を告白できないでいた。 彼女が自分を責めているのを見ても、俺が言えばそれがなくなるのを知っていても。 に、責められるのが怖かった。 あの、優しい眼差しが、俺を呪うのが怖かった。 愛娘を失い、その上、の心を失いたくはなかったんだ。 だって、耐えられるか? 大好きだと言ってくれたその口で。 大嫌いだと罵られる事に。 人殺しと蔑まれる事に。 俺には、無理だ。 弱った心に、その仕打ちは酷すぎる。 とてもじゃないが、耐えられない。 だから、にだけは言えなかった……。 この事実を知ってるのは、八戒だけだ。 アイツにだけは、黙っている事ができなかった。 静かな翡翠の瞳には、隠し事は通用しなくて。 抵抗する事もなく、俺は諸手を挙げていきさつの全てを話した。 アイツなら、にチクる事もないだろうと、思ったし。 それに何より。誰にも言わないでいる事ができる程、俺は強くなかった。 すると、ただ八戒は。 「そう、ですか……」 とだけ言って。 痛ましげにその目を伏せた。 「のせいじゃない。俺が、殺した……」 「僕には……」 「…………」 「何か言う事はできません。それは……貴方達の問題ですから」 「……っ」 その言葉を聞いた時、俺は妙なショックを受けた。 突き放されたかのように感じたからだ。 こんな罪深い身で。 八戒に何を期待してたんだか。 慰めてくれるとでも思っていたのか? そんな事はないと否定してくれるとでも? いや。そうじゃない。 俺は、奴に断罪して欲しかったんだ。 にそれをされない代わりに。 誰か。 誰でも良いから、俺を……。 殺してくれ。 俺の言葉は。 君には聞かせない。 それが全ての後悔の始まりだった。 ......to be continued
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