―悟浄.ver―







、アイシテル』


貴方はそう言ってくれたわよね。
私は貴方に恋をして、ずっとずっと愛してるの。
でも、理解していた。
ソレはただの空言だと。


私にとって貴方は運命の人だったのよ?
でも、知っていた。
ソレは私だけが感じた運命だと。


あんなに尽くしてきたのは分かってるでしょう?
ねェ、悟浄。



其処にいる女は何……?
じゃあ、貴方の運命は?







どうしてそんな表情カオで笑いあっているの?
私はソンナモノ知らないわ。
そのヒトなの??
貴方は、私じゃない貴方だけの運命の人を見つけたみたい。


その女が貴方の甘い声を、瞳を、独占しているのね……。







ユ・ル・サ・ナ・イ
なんて羨ましいんだろう。







私はそっと二人に近づいて、貴方がその女を抱きしめた瞬間に駆け出した。
気付いてももう遅い。
嗚呼、止めたくても止まらない。

肉を切る嫌な感触と生暖かい液体を私は感じたわ。

貴方がその女の名前を呼んでいるけれど、ソンナモノどうだっていい。
坂を転がり堕ちる小石に、自分の意思なんてないから。

アラ、怖い表情カオね?



「……手前ェ」



私は何も悪くないわ。
貴方が欲しかっただけなのよ?
悪いのは、誰より何より、この運命。







「さァ、殺すのなら殺して頂戴?」







ねェ、悟浄。
貴方が心も、身体すらその女のモノになるのなら、私は貴方に殺されたいの。
こんな私を殺して、時々思い出して頂戴。

そうすれば貴方の『罪悪感』は私だけのモノになるわ。

一生消えない罪の意識……。
誰にも渡してなんかやらない。
私を忘れないで。
憎んでも良いから、忘れないで。


優しい悟浄。
愛しい悟浄。



貴方の心に住み続けてやる。
アイシテイマス。









―作者のざれごと♪―

『女』シリーズ第一弾の悟浄編、いかがでしたか?
これは静流も夢として書いてません。「魔がさすとき」というお題で、思いついたから書いてしまいました。
続きは皆様のご想像にお任せしますv
こういう場合、普通は刺された方の視点で書くものだとは思うのですが、静流的に報われない女性が書きたかったのですよ。
実際、ラビュ×2なんて滅多にないと思うんで。
ウチのサイトはヒロインが大事にされまくってて、偶にはこんなのもいいか、って感じで書きました。
うん。まァ、『女は怖いゾ☆』ってコトを言いたかったのです。
ちなみに、『女』シリーズは全部暗いので、一気に読まないことをお勧めします。
以上、『女―悟浄.ver―』でした!

  ちなみに、反転して読むとまた違うですよ?