女―悟浄.ver― 『、アイシテル』 貴方はそう言ってくれたわよね。 私は貴方に恋をして、ずっとずっと愛してるの。 でも、理解していた。 ソレはただの空言だと。 私にとって貴方は運命の人だったのよ? でも、知っていた。 ソレは私だけが感じた運命だと。 あんなに尽くしてきたのは分かってるでしょう? ねェ、悟浄。 其処にいる女は何……? じゃあ、貴方の運命は? どうしてそんな表情で笑いあっているの? 私はソンナモノ知らないわ。 その女なの?? 貴方は、私じゃない貴方だけの運命の人を見つけたみたい。 その女が貴方の甘い声を、瞳を、独占しているのね……。 ユ・ル・サ・ナ・イ なんて羨ましいんだろう。 私はそっと二人に近づいて、貴方がその女を抱きしめた瞬間に駆け出した。 気付いてももう遅い。 嗚呼、止めたくても止まらない。 肉を切る嫌な感触と生暖かい液体を私は感じたわ。 貴方がその女の名前を呼んでいるけれど、ソンナモノどうだっていい。 坂を転がり堕ちる小石に、自分の意思なんてないから。 アラ、怖い表情ね? 「……手前ェ」 私は何も悪くないわ。 貴方が欲しかっただけなのよ? 悪いのは、誰より何より、この運命。 「さァ、殺すのなら殺して頂戴?」 ねェ、悟浄。 貴方が心も、身体すらその女のモノになるのなら、私は貴方に殺されたいの。 こんな私を殺して、時々思い出して頂戴。 そうすれば貴方の『罪悪感』は私だけのモノになるわ。 一生消えない罪の意識……。 誰にも渡してなんかやらない。 私を忘れないで。 憎んでも良いから、忘れないで。 優しい悟浄。 愛しい悟浄。 貴方の心に住み続けてやる。 アイシテイマス。
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