女―悟空.ver―
「友達でいてくんねェ?」
ずっと、憧れていたの。
元気一杯で真っ直ぐで、眩しい貴方がスキ。
貴方のようにはなれなかったけれど、その元気を少し分けてもらっていたんだ。
一緒にいる女の子が私一人だと知って、とても嬉しかった。
けれど、分かってもいたんだよ……?
貴方は私を女友達としか見てくれてなかったんだよね……。
「オレ、のコト好きだけど、えっと……な?」
「……うん。友達としての『すき』なんだよね?」
「……ごめん」
私は、友達としてなんか見たコトないけど。
でも、仕方無い。
私だって、突然、悟空以外を『異性』だなんて見れないから。
「でもっ!オレ、のコト一番の友達だと思ってるからっ!!」
別れ際にそう声を掛けられた。
『仕方ない』
そんな風に納得はしたけれど、自分一人で部屋にいるようになったら涙が溢れた。
頭が理解したって、心はそれを否定する。
嫌だ。
私、そんなにイイコじゃない。
黙って我慢なんて、出来ないよ……っ!
『友達』
なんて嫌な言葉なんだろう?
優しさで掛けてくれたその一言が、ただ痛い。
幻滅させてくれれば良いのに、どうしてそんなコト言うの!?
ヒドイ。
それじゃあ、嫌いになれない。
忘れるコトも出来ない。
そっと、机の引出しを開けて、カッターを取り出して……。
自分で何をしているかなんて、ほとんど無意識で覚えていない。
ただ、この世界が、悲しみが夢のようで、生きているコトを実感したかったんだ。
タスケテ。
ほんの少し血が滲んで、一本の細く紅い線が視界を彩る――……。
イタイ。
これから、貴方が『友達』という度に増やそうと思うの。
大丈夫。貴方のせいじゃない。
大丈夫。死んだりしないから。
でも、クルシイの。
クルシクテクルシクテクルシイよ。
だって、死んじゃったら貴方の眩しい姿を見ていられないでしょ?
貴方の眩しい姿もクルシイの。
日毎に増える線を見る度に心を痛めて、貴方を嫌いになれる日を待っているから。
ずっとずっと、いつまでも。
タスケテ。
痛みを引きずりながら、ずっとずっと、いつまでも……。
誰か、助けて――……。
―作者のざれごと♪―
シリーズ最後の悟空.ver、皆様如何でしたか?
リストカットまで持ち出しちゃいましたよ、ついに!
悟空は、きっと素で女の子を傷つけそうだなぁと思った結果がこれでした。
『女』シリーズは、とにかく彼らに振り回されるヒロインというテーマで書いてあります。
ちなみに、アップした順は、そのまま思い浮かんだ順です。
以上、ひらがな44の御題【ま 魔がさすとき】で『女―悟空.ver―』でした!
さァ、此処までお付き合いありがとうございました!ヒントなしでスクロールした人は凄いですv
女の子は一見すると矛盾した考えを持つモノですよね。